「日本戦で全ての歯車が狂った」スペイン代表のW杯早期敗退を母国記者が指弾 「他の強豪国に比べてタレント力で劣っている」「戦犯は…」

2023年01月13日 エル・パイス紙

「スペインには初めから不利な条件が揃っていた」

日本にまさかの逆転負けを喫したスペイン。ラウンド16で敗退となった。(C)Getty Images

 勝負事において勝者を自認する者は、負ける準備をしていないものだ。タイトルに手が届く可能性が低いチームであっても、だ。カタール・ワールドカップのルイス・エンリケ監督率いるスペイン代表がまさにそうだった。

 2010年の南アフリカ大会で初優勝を果たして以来、今大会のコスタリカ戦(7-0)も含めてW杯で3勝しかしていない低調な実績(残りの2勝は14ブラジル大会のオーストラリア戦(3-0)と18年ロシア大会のイラン戦(1-0)、今年のバロンドールの候補に誰1人ノミネートされなかった陣容どちらを見ても、スペインには初めから不利な条件が揃っていた。

 優秀な選手には事欠かない。その大半は移籍市場での人気も高い。さらに同じクラブ出身者と錯覚させるほどアカデミックな環境で育った選手が揃い、その中にはペドリ、ガビ、ニコ・ウィリアムスら将来有望な若手も少なくない。しかし、一方で大きなハンデとなって立ちはだかったのがフランスのキリアン・エムバペ、アルゼンチンのリオネル・メッシ、イングランドのハリー・ケイン、ブラジルのネイマールに匹敵するような違いを生み出すタレントの不在だ。

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 ルイス・エンリケはそんな中でも準備を怠ることなく人一倍の熱意を持ってチームを指揮した。しかし実績抜群の指揮官の手腕をもってしても、結果を残すことはできなかった。

 したがって、今大会スペインに突き付けられていたのは、威厳を持ってカタールにアディオスを告げるタイミングを探すことだったかもしれない。たとえば準々決勝でブラジルの前に敗退を喫するようなシナリオだ。しかしルイス・エンリケ監督はそうした現状を受け入れることを潔しとせず、選手たちとファンに楽観主義の波に乗るよう呼びかけた。

 コスタリカ戦での圧勝がその機運の醸成に重要な役割を果たしたのは言うまでもない。さらに指揮官はその雰囲気作りの一環として、ストリーマーに変身し、日ごろサッカーに興味を示さないライト層の取り込みに努めた。

 当初このプロットがうまく行っていたのは、アイデアが魅惑的だったからだが、同時にリスクもはらんでいた。それは偉大な選手を抱えることなく、強者の戦い方を志向し続けたことだ。全員が等しく優秀である反面、課題を矮小化することも、欠点を隠すことも、他の強豪国に比べてタレントの力で劣っていることを認めることもしなかった。

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