【ロシアW杯南米予選プレビュー】伝統のアルゼンチン対ブラジル戦。序盤最大のビッグマッチの成否を分けるポイントは?

2015年11月11日 沢田啓明

南米最大にして世界有数のダービーマッチだ。

直近の対戦は2014年10月11日の中国での親善試合。その時はブラジルが2-0の完封勝ちを収めている。 (C) Getty Images

 フットボールにおけるブラジルとアルゼンチンのライバル意識の激しさは、第三者にとっては異様に感じられるほどだ。
 
 歴史上、両国がイングランドとスコットランド、ドイツとイングランド、日本と韓国などのように、敵対関係や支配・被支配関係にあったことは一度もない。双方にとって重要なアイデンティティーのひとつであるフットボールで宿敵の間柄となり、そのことが国民感情に大きな影響を与えているのだ。
 
 共に南米を代表するフットボール超大国だけに、その争いは極めてレベルが高く、南米最大にして世界でも有数のダービーたらしめている。
 
 至高のダービーは1914年9月に行なわれた最初の対戦から60年代までは、アルゼンチンが圧倒していた。しかし、70年代からブラジルが盛り返し、これまでに96戦して36勝24分け36敗と全くの五分に拮抗している。
 
 過去4度のW杯(74年、78年、82年、90年)の成績はブラジルの2勝1分け1敗。同W杯予選でも3勝1分け2敗とブラジルが勝ち越している。
 
 昨年のW杯ブラジル大会では、大多数のブラジル国民が決勝でアルゼンチンを倒しての世界一を夢見ていた。ところが、セレソンは準決勝でドイツに大敗(1-7)。以後、決勝までの5日間、ブラジル人はアルゼンチン人に散々にからかわれ続けた。
 
 決勝でブラジル国民は、こぞってドイツを応援。アルゼンチンが自分たちの目の前で戴冠しなかったことが、唯一の慰めとなった。もし、アルゼンチンが優勝していたら、舞い上がったアルゼンチン人とブラジル人が衝突し、少なからぬ犠牲者が出ていたに違いない。
 

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