【バイタルエリアの仕事人】vol.23 岩清水梓|「この人のために」と思って戦えるチームは強い。女子W杯へ、泥臭く頑張る姿を見たい

2022年12月29日 手塚集斗(サッカーダイジェストWeb編集部)

前でタイミングよく止まってくれる選手のほうが見つけやすい

出産を経て、昨シーズン復帰した岩清水。ベレーザのバンディエラが攻撃において、バイタルエリア攻略のために意識していることとは。写真:鈴木颯太朗

 攻守の重要局面となる「バイタルエリア」で輝く選手たちのサッカー観に迫る連載インタビューシリーズ「バイタルエリアの仕事人」。第23回は、日テレ・東京ヴェルディベレーザのDF岩清水梓だ。

 前編では、出産から復帰した昨季と今シーズンの気持ちの変化やチームの課題、守備者としてのプレーの極意を訊いた。後編では、来年、ワールドカップに挑むなでしこジャパンへの思いなどを深く掘り下げていく。

 まずは、CBのほかに、アンカーとしてもプレーする岩清水に、攻撃においてのバイタルエリア攻略の考え方、チームメイトとの共通理解の重要性について語ってもらった。

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 攻撃では、自分がボールを持っている時、フォワードの動きを見ながら裏に動き出す選手だけでなく、下りてくる選手も探さないといけない。味方のポジショニングから瞬時に判断して、いかに優位性を探し出すかがポイントになってきます。

 バイタルエリアにどうボールを入れるかを常に考えながらポゼッションしているので、チームとして意図した通りのパスがそのエリアにスパンって入ると、ひとつ達成感がありますね。

 中盤でボールを奪えた瞬間、ヘッドアップした時に良いコースがあれば前にパスを出しますが、それで失ってカウンターを受けるリスクもある。点差や時間帯も考えながら、ボールを大事にしたい時は丁寧に繋ぎますし、勝負に出る場合もある。状況によって適切な選択ができるかも重要です。

 最近、呼吸が合うなと思うのは、フォワードの小林里歌子です。1トップの少し下の絶妙な位置で待っていてくれて、もしパスコースを切られてしまっても、もう一回動き出してくれる。そういった選手には預けやすいですし、厳しめのパスをしっかり止めてくれる技術もあるのでありがたいです。

 何度も動きを繰り返す選手はとても大切だし、チームに欠かせないのですが、私がボールを持った時にタイミングよく止まってくれる選手は見つけやすく、ボールを通しやすいんです。

 その点では、今は海外でやっている元ベレーザの籾木(結花)は、良いポジショニングでタイミングよく止まっていてくれるので預けやすい印象があります。逆にイングランドでプレーしている、なでしこジャパンの長谷川唯は、永遠と動いていてパスコースを作るタイプの人ですよね(笑)。もちろん、状況によってはそういう選手も必要。出し手としては、それぞれのタイプに合わせる技量も重要ですね。

 私がなでしこジャパンにいた時代は、ベレーザの選手が多かったですが、今の代表は長谷川選手も含めて海外組が増えてきて、それぞれの色ややりたいことが違うので、連係の取りにくさがあると思う。そのなかで自我を抑えて、監督が示した指標や周囲の選手に合わせてプレーするのも大事だと感じます。
 

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