【ナビスコカップ決勝】宇佐美は8戦不発と“スランプ状態”。鹿島の猛攻に晒されて「死に駒」と化す

2015年10月31日

G大阪が放ったシュート5本のうち、宇佐美が3本を放つも…。

シュート3本を放つも、劣勢を強いられ不発に終わった宇佐美。23分には、約60メートルの独走ドリブルからシュートへ持ち込むなど見せ場も作ったが……。写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト写真部)

 約60メートルの独走ドリブルが、最大にして唯一の見せ場だった。
 
 大一番で最近の定位置である左MFで先発した宇佐美貴史は、対峙した鹿島の遠藤康や西大伍の上がりに引っ張られる形で守備に奔走。左サイドで攻撃の起点となった回数は、片手で足りるほどしかなかった。
 
 G大阪サポーターを最も熱狂させたのが、冒頭のドリブルだ。23分、鹿島のFKを撥ね返すと、自陣のエリア前でこぼれ球を拾った宇佐美が相手ふたりを引き連れながら約60メートルもの距離を力強く持ち上がり、左足を振り抜いた。シュートは惜しくもGKに止められたが、"得点の匂い"を感じさせた数少ないシーンだ。
 
 宇佐美はいくつかの敗因を指摘する。ひとつ目は、最前線のパトリックが機能不全に陥った点だ。
 
「前(パトリック)になかなかボールが収まらない状況が続いたので、後ろから前に行けない展開が続いた」
 
鹿島の激しく、素早い寄せに潰される場面が続出し、仕掛けの局面で考える時間もスペースもないに等しかった。
 
 また、守備面でも「序盤からウチはなかなかギアが入らなかったけど、鹿島は出足が良く、セカンドボールも拾われた。ガンバに慢心があったかどうか分からないけど、向こうに勢いがあった」と振り返る。長谷川健太監督も指摘したとおり、局面での攻防でことごとく後手を踏み、終始、劣勢に回った感は否めない。
 
 シュート数の差が、この日の攻防を物語る。G大阪の5本(前半2本、後半3本)に対して、鹿島は24本(前半10本、後半14本)。宇佐美は5本中3本のシュートを放っており、攻撃が機能不全に陥ったなかで唯一の光となっていたと言える。

次ページ失点後に揺れたG大阪。「前に行くのか後ろに残るのか、少しチグハグだった」(宇佐美)

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