「普段だったら起こりえない」鎌田大地が直面した世界の舞台の壁「決めきれてないのが今の自分の実力」【W杯】

2022年11月28日 元川悦子

「ワールドカップっていうのはどの試合でも難しい」

GSで2戦連続先発の鎌田。コスタリカ戦では本来の力を出し切れなかった。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部/JMPA代表撮影)

[カタール・ワールドカップ・グループステージ第2戦]日本 0-1 コスタリカ/11月27日/アフマド・ビン・アリ・スタジアム

 11月23日の初戦・ドイツ戦に続き、27日のコスタリカ戦も連勝し、カタール・ワールドカップ(W杯)のグループステージ突破をいち早く決めたかった日本代表。しかし、中南米の強国は想像以上の難敵だった。

 初戦でスペインに0-7で大敗した彼らが背水の陣で攻めてくるという予想もあったが、ふたを開けてみると5-4-1の強固なブロックを敷く守備的戦術を採ってきた。原点回帰を図ったのだろうが、こうなると日本はスペースがなくなり、攻めあぐねる。アジア予選でよく見受けられる悪循環を強いられたのである。

「あれだけコンパクトにアグレッシブに守られると、僕たちだけじゃなくて、どこの国も苦戦する。今日は自分たちの狙っているような守備ができなくて、良い攻撃につなげることができなかった。これが国を背負って戦っているっていうことだし、ワールドカップっていうのはどの試合でも難しいものだなと感じてます」

 スタート時はトップ下に陣取り、途中から2シャドーの一角に入った鎌田大地(フランクフルト)は苦渋の表情を浮かべた。

 ドイツ戦の鎌田は前半から凄まじい守備負担を強いられながらフル出場。堂安律(フライブルク)の同点弾のシーンでは、中盤で巧みに敵を引きつけ、堂安のゴールを導くシュートを放った南野拓実(モナコ)が、飛び出すスペースを作るという黒子の動きも見せていた。
 
 もっとも、フランクフルトで今季公式戦12ゴールを奪っているフィニッシャーの凄みを示せなかっただけに、コスタリカ戦では期待が高まった。が、中3日の過密日程、上田綺世(サークル・ブルージュ)らとの不慣れな連係、相手の強固な守備に阻まれ、イージーミスを連発。山根視来(川崎)に「もっと守備で前に出ていい」と激しく要求するなど苛立ちもにじませるなど、前半は彼らしい輝きがほとんど見られなかった。

「イージーなミスが個人的にすごく多かったなと思う。自分はああいうイージーミスをしてはいけない選手。普段だったら起こり得ないことだし、特に今季はそう。自分のプレーに対して納得してないですけど、もう切り替えるしかないので」と、本来のパフォーマンスを発揮できずに苦しんだことを明かした。

 それが、「W杯の魔物」というものなのかもしれない。過去のW杯でエース級と位置づけられた選手を見ても、中村俊輔が原因不明の発熱や帯状疱疹に見舞われたり、香川真司(シント=トロイデン)がコンディション不良に陥ったりしたケースがあった。

 鎌田は昨季、ヨーロッパリーグ(EL)王者に輝き、今季はチャンピオンズリーグで存在感を示すなど、百戦錬磨のアタッカーだ。それだけの人材にとっても、初めてのW杯は一筋縄ではいかないということなのだろう。

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