【バイタルエリアの仕事人】Vol.22大谷秀和|パサーとしてテンポ良くつないで、受け手の時間を作る。伝えたいのは駆け引きの面白さ

2022年11月30日 野口一郎(サッカーダイジェストWeb編集部)

相手を見て駆け引きできる時間から生まれたベストゴール

大谷は相手DFやGKとの駆け引きを征して決めた得点を自身のベストゴールに挙げた。(C)SOCCER DIGEST

 攻守の重要局面となる「バイタルエリア」で輝く選手たちのサッカー観に迫る連載インタビューシリーズ「バイタルエリアの仕事人」。第22回は、柏レイソルのMF大谷秀和だ。

 前編では、キャプテンシーやチームメイトへの接し方、10月に急逝したかつてのチームメイトで元日本代表FWの工藤壮人さんへの想いなどについて訊いた。後編では、自身のベストゴールやボランチ論などを掘り下げる。

 まずは、自身のベストゴールについて訊いた。大谷がセレクトしたのは、2017年の第17節・鹿島アントラーズ戦の24分に決めた得点。バイタルエリアを見事に攻略した、クレバーかつ鮮やかなファインゴールだった。

――◆――◆――

 僕が好きなのは、鹿島戦のゴールです。ベストゴールと言っていいと思います。

 一連のボールとの関わり方も含めてのベストゴールですね。相手を見ながらチームみんなで前進していって。一度、クロスが流れましたけど、その後に僕の所に落とされてシュートを打つ時も、キーパーと飛び込んでくるディフェンスの選手をしっかり見て。
 
 飛んだコースは特別に良いコースではないですけど、駆け引きができていました。しっかりキーパーの逆を取っているので、絶対に入る確信もありました。個人的には、駆け引きをずっとしながらプレーしてきました。その駆け引きが、すごく出たゴールかなとは思います。

 シュートを打つ時に、キーパーのクォン・スンテ選手から見て左側に蹴るような身体の向きで蹴ったので、キーパーから見たら、「逆に取られたから、もう反応できない」という感じだったと思います。

 相手選手の逆を取る駆け引きは、僕にとってサッカーをやっていて楽しいと思うポイントです。ゲームの中での駆け引きは分かりづらい部分が多いので、そこをピックアップして説明するのは、難しいです。ただ、あのシーンは「これ」という分かりやすいシーンでした。

 ディフェンスの選手は遅れて飛び込んでくる状況だったので、何とかブロックしようとして足を伸ばしてくると、股は空きますし。そのため、股が空くというのを把握しながらシュートを打ちました。

 クリスティアーノが「シュートを打ってください」というような良いボールの落とし方をしてくれたので、僕の中ではすごく時間があって、ディフェンダーの選手やキーパーの選手をしっかり把握して、駆け引きする時間があったのが良かったなと思います。

【動画】大谷秀和が選ぶ自身のベストゴール!鹿島戦で駆け引きの末に決めたコントロールショットをチェック!

次ページ前向きの選手にボールを渡して時間を作る

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事