「カナダ戦に出たら…」日本代表の10番・南野拓実、“逆転スタメン奪取”にかける想い

2022年11月17日 元川悦子

森保J発足時からチームの軸を担う

伝統の10番を背負う南野。カナダ戦では目に見える結果を出して、スタメン奪取にアピールしたい。(C)Getty Images

 11月23日のカタール・ワールドカップ(W杯)初戦・ドイツ戦まで約1週間となった15日、ドーハに三笘薫(ブライトン)を除く25人が集合。ようやく本番モードでの調整がスタートした。

 彼らは17日に大会前最後のテストマッチ・カナダ戦に挑むことになるが、脳震盪からの回復途上にある遠藤航(シュツットガルト)の欠場が決定。守田英正(スポルティング・リスボン)も左ふくらはぎに違和感を訴えており、大事を取って回避することが決まった。

 浅野拓磨(ボーフム)と板倉滉(ボルシアMG)が負傷離脱から戻り、これからという時に主力級のアクシデントが続き、森保一監督も頭を痛めていることだろう。

「今、怪我人とかも多いけど、ネガティブな要素を忘れて、開き直って戦うことも大事だと思います」と10番を付ける男・南野拓実(モナコ)は前向き思考の重要性を改めて強調。自身とチームの状態を可能な限り、引き上げていく構えだ。

 ご存じの通り、南野は2018年9月の森保ジャパン発足時からチームの軸を担い続けた数少ない選手。2020年からは当初10番を背負っていた中島翔哉(アンタルヤスポル)からエースナンバーを引き継ぎ、最終予選も主力として戦い抜いてきた。

 しかしながら、今年9月の欧州遠征2試合では、メインのアメリカ戦に出られず、サブ組主体のエクアドル戦に出場。久しぶりのトップ下に入ったが、ほぼ見せ場なく終わり、「4年間、このチームでやっているし、もう言い訳にはできない。チームを勝たせられるような選手になるだけですね」と悲壮感を露にしていた。
 
 巻き返しを図るには、今夏赴いたモナコで実績を残すしかない。そう本人も決意を固めて10~11月を過ごしたはずだ。実際のところ、出番が劇的に増えたわけではなかったが、10月16日のクレルモン戦、30日のアンジェ戦、11月6日のトゥールーズ戦の3試合で先発。動きにキレと鋭さが出てきた印象だ。

 とりわけ、トゥールーズ戦では、立ち上がりから積極的にシュートを打ちに行き、素早い動き出しから敵の背後を取るプレーも披露。ロシア代表MFアレクサンドロ・ゴロビンのシュートのこぼれ球に反応して惜しいヘッドもお見舞いした。

 これらは惜しくも得点につながらなかったものの、8~9月とはコンディションが見違えるほど改善されていた。そして後半には左からのクロスでブリール・エンボロの2点目を巧みにアシスト。復調傾向を大いにアピールしてみせたのだ。

「良いプレーができている時の自分は、外から見て躍動感があるなって感じの動きやチャンスに絡んでいく姿勢を出せている。自分が見えているスペースに走りこめたり、走り続けられたり、ボールが来た時に迷わずシュートに行けたりってところが感覚的に良くなっていると思います」

 こう話す南野の表情は、9月シリーズの時より確実に明るかった。それだけ自信と手応えを取り戻したということだろう。新天地・モナコの強度の高いトレーニングに適応し、ハイレベルなフィジカルを体得できたという意味で、南野は一段階上のステージに飛躍したと見ていいのではないか。

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