【リーガ現地コラム】序盤戦のビッグサプライズ。エイバル躍進の3つの要因

2015年10月22日 豊福晋

高いインテンシティーと守備意識が奏功。

今夏に乾(左)をはじめ複数の即戦力を加えて戦力値を増したうえ、真骨頂のハードワークがグレードアップしたエイバル。ここまで3勝4分け1敗と望外の快進撃を披露する。(C)Getty Images

 リーガ・エスパニョーラ序盤戦のサプライズのひとつが、乾貴士の加入により日本でも注目を浴びているエイバルの快進撃だ。8節を終え、獲得した勝点は13。デポルティボと並んで6位につけ、ヨーロッパリーグ出場権(6位以内)を争っている。首位タイのレアル・マドリー、セルタ、バルセロナとの差は、わずか5ポイントだ。

 昨シーズを18位で終えながら、財政難のエルチェの降格処分により、繰り上げで残留にこぎつけたエイバル。リーガ最小クラブの好調の要因とは何か。ポイントは3つある。


■ポイント1
徹底したハードワーク


 昨シーズンから継承するチームの色が、今シーズンはさらにグレードアップ。選手たちの序盤戦の運動量はリーガのトップクラスで、中盤戦以降の戦いへの影響を度外視したコンディショニングが、すぐさま効果として現われている。

 鍵を握るのがアンカーのダニ・ガルシアとインサイドハーフのゴンサロ・エスカランテだ。MFとしては地味ながら、不要なアクションを避けて常にバランスを保ち、警告を恐れずハードにチャージ。運動量&堅守というエイバル・スタイルを体現する象徴だ。

 攻撃時には、プレーメーカーのアドリアン・ゴンサレスを中心に、乾とサウール・ベルホン(あるいはケコ)がサイドからアクセントをつける。それでいてボールを奪われれば、彼らアタッカー陣も、対峙する敵を追って自陣ペナルティーエリアまで戻り、守備のタスクをこなす。乾が「このチームに入って激しさと強さに驚いた」と語るように、前からぶつかる高いインテンシティーと守備意識の徹底ぶりはチームの最大の強み。格上相手にも大崩れしない要因だ。

次ページ全力ファイトを好むいかにもバスクらしいチーム。

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