バルサのピケはなぜ突然引退を決断したのか。シャビとの関係、ロッカールームでの孤立、会長になる夢を考えると…【現地発】

2022年11月05日 エル・パイス紙

「なんなら世界最高のセンターバックを連れて来ればいい」と挑戦状

3日にSNSで現役引退を発表したピケ。(C)Getty Images

 ジェラール・ピケが3日、バルセロナ退団を発表した。CBは常々「他のチームでプレーすることはない」と語っており、これは現役生活への別れを意味する。2日前にカタールW杯の予備登録メンバーに名を連ねていることが明らかになったばかりだった。誰も予想していなかった中、SNSという"らしい"方法でピケは電撃発表を行なった。

 今シーズン、控えに降格していたピケは、私生活でもコロンビア出身の人気歌手、シャキーラとの破局を公表後、パパラッチの餌食になるなど、困難な時期を過ごしていた。

 開幕前、シャビ監督はピケと話し合いの場を持った。2人はカンプ・ノウで7シーズン、同僚だった間柄だ。ピケの振る舞いを好ましく思っていなかった指揮官は、戦力構想から外れていることを伝えた。しかしピケは「なんなら世界最高のセンターバックを連れて来ればいい。俺がその選手をベンチ送りにする」と逆に挑戦状を叩きつけた。

【動画】電撃引退を発表したピケの投稿
 その後、バルサはジュル・クンデとアンドレス・クリステンセンを獲得。ロナウド・アラウホとエリク・ガルシアにも先を越されていたピケはチーム内の序列で5番手CBとして開幕を迎えた。

 しかも、"敵"はピッチ上だけではなく、オフィスにもいた。先の通常総会で、マテウ・アレマニFD(フットボール・ディレクター)が、ジョルディ・アルバとセルヒオ・ブスケッツも含めた高給取り選手の契約について、「消滅させたい」と宣言していた。

 ピケは、かねてから自身の去就について明確なスタンスを持っていた。2020年8月に、チャンピオンズリーグ(CL)でバイエルンに2-8の大敗を喫した直後に、「新しい血を入れる必要があるというのなら、俺が真っ先に出て行く」と発言。その翌年、本紙のインタビューで「控え選手という立ち位置で引退するつもりはない」と明言していた。このことからクラブ幹部の間では、「ジェラールはもっと自分の発言に責任を持つべきだ」と非難の声も上がっていた。

 ドレッシングルームでもリキ・プッチのMSL移籍を境に、孤立しがちになり、最近のピケについて、「ジェリ(ピケの愛称)の態度について我々は何の不満も持っていないが、影が薄くなっていたことは確かだ」とあるチームスタッフは認める。
 

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