【連載】ミラン番記者の現地発・本田圭佑「“スポンサー対策の起用”という報道は信憑性に欠ける」

2015年10月20日 マルコ・パソット

わずか6分間の時間はフラストレーションが溜まるに違いない。

10月17日のトリノ戦で3試合連続のベンチスタートだった本田。ピッチに送り出されたのは88分になってからだった。(C)Getty Images

 本田圭佑のミランにおける状況に変化はない。前回のコラムで書いた通り、その後も爆弾発言に関してクラブ幹部と話し合った形跡は一切見られない。
 
 とはいえ報道を知った直後、アドリアーノ・ガッリアーニ副会長が代表戦のためイタリアを後にしようとしていた本田に電話を掛けて、発言に対する説明を求めたのはまず間違いないようだ。
 
 結局、クラブ批判をした本田は、罰金を科せられる可能性がかなり高い。ただ、ミランではこうした場合に、だいたい非営利慈善団体への寄付という措置が取られるため、処分内容が外に漏れるケースは稀だ。
 
 そして今後は、本田が冬のカルチョメルカート(移籍マーケット)でミランから出て行きたがっているという報道が、1月末まで繰り返し流れるだろう。
 
 実際、すでにエバートン、トッテナム、そしてバレンシアなどが、本田を欲しがっていると伝えられている。冬のメルカート開幕が近付くにつれて、取沙汰されるクラブはさらに増えるかもしれない。
 
 そんな状況の中、10月17日のトリノ戦(セリエA8節)で本田は、88分からピッチに投入された。この采配に関しては、二通りの解釈ができる。一つはごく普通のテクニカルな理由によるもの、もう一つは悪意の介在するもの……。
 
 まず、ごく普通のものは、投入時は1-1で拮抗していたため、シニシャ・ミハイロビッチ監督が逆転、もしくは時間稼ぎを狙って本田を送り込んだ、という考え方だ。
 
 一方、悪意の介在した見方とは、「なんで自分が使わないのかわからない」という発言に対する、ミハイロビッチ監督なりの回答だ。つまり、こんなメッセージである。
 
「誰を使うかは俺が決める。俺ができるのは、なにもお前をプレーさせない事だけじゃない。例えば、30分もウォームアップをさせた挙句に、ただの"時間稼ぎ"として投入することだってできるんだぞ」
 
 たしかに、ロスタイムを含めてわずか6分間のプレーという状況は、誰にとってもかなりフラストレーションが溜まるに違いない。
 
 2つの解釈のうちどちらが正しいかを断言するのは、簡単ではない。個人的にはどちらも正解だと思っているのだが……。

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