【バイタルエリアの仕事人】Vol.21 興梠慎三|J1歴代2位の得点をマークも、「ゴールよりアシストの方が気持ち良い」

2022年10月30日 野口一郎(サッカーダイジェストWeb編集部)

得点はタイトル狙いの戦いの中でついてくるもの

ゴールよりもチームの勝利の方が大事だと強調する興梠。写真:塚本凜平(サッカーダイジェスト写真部)

 攻守の重要局面となる「バイタルエリア」で輝く選手たちのサッカー観に迫る連載インタビューシリーズ「バイタルエリアの仕事人」。第21回は、北海道コンサドーレ札幌のFW興梠慎三だ。

 前編では、9年間在籍した浦和レッズから札幌へ移籍を決意した経緯や、恩師と慕うミシャことペトロヴィッチ監督への思い、今季の札幌の状況について語ってもらった。後編では、更新が期待されているJ1歴代最多得点への気持ちや、今季の得点やアシストのシーンなどを掘り下げていく。

 まずは、通算の得点数について。興梠は、鹿島アントラーズと浦和に在籍していた2012年から20年まで、史上初めてJ1で9年連続二桁得点を記録し、現在(10月28日時点)J1で163得点をマークし、161得点の佐藤寿人氏を抜いて歴代2位。上には191得点の大久保嘉人氏だけで、トップ記録更新への期待も高まっている。

 希代のストライカーにとっての、ゴールへの思いを訊いた。

――◆――◆――

 嘉人さんや寿人さんのような、有名な方々と共に名前を刻めたのはとてもうれしいです。ただ、自分自身は得点数にあまりこだわりはないです。チームでどれだけタイトルをとれたかの方が、重要だと思っています。
 
 個人の記録よりも、チームのみんなで勝ち取ったタイトルがすごく欲しい。毎年そこにこだわってきました。得点記録は自然とついてきてくれたのかなという感覚だけで、今も意識しているつもりはないです。

 連続二桁得点も、そこまで意識はしていないのですが、周りの方々が煽ってきますので。それで少しは「じゃあ、取らなきゃいけないな」という気持ちになります。また、フォワードをやっているからには、しかもスタメンでずっと出ているのだから、二桁は取りたいと思っていました。

 僕はあまりシュートを打たないタイプです。1試合に2本とか。シュート数が少ない(編集部注、大久保氏は通算1141本、興梠は同663本、佐藤氏は同717本)から、スーパーゴールもないし得点王もまだとれていない。その意味で、嘉人さんや寿人さんとの違いはすごくあると思います。

 僕自身の考えとしては、大きな怪我が無かったのが、記録につながった要因かと思います。
 

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