【バイタルエリアの仕事人】Vol.21 興梠慎三|あふれ出る恩師ミシャへの強い思い。5年ぶりのタッグ、来年はタイトルを取らせてあげたい

2022年10月29日 野口一郎(サッカーダイジェストWeb編集部)

一度は家族を優先し浦和残留も、再オファーで札幌移籍を決意

プロ18年目の今シーズン、10年ぶりの移籍で札幌にやってきた。写真:塚本凜平(サッカーダイジェスト写真部)

 攻守の重要局面となる「バイタルエリア」で輝く選手たちのサッカー観に迫る連載インタビューシリーズ「バイタルエリアの仕事人」。第21回は、北海道コンサドーレ札幌のFW興梠慎三だ。

 鵬翔高校時代に全国高校選手権でベスト8に進出し年代別日本代表に選出するなど活躍し、2005年に鹿島アントラーズに加入。1年目の4月にJ1デビューし、4年目の途中からスタメンに定着すると、5年目の2009年にはチーム2番目の12得点をマークする。

 2013年には浦和レッズに移籍すると、絶対的なFWとして君臨。17年の20得点など、J1史上初の9年連続二桁得点の偉業を成し遂げる。通算では、歴代2位タイの162得点(10月28日時点)を決めている。

 そんなJリーグ屈指の実績を持つFWは、今季から札幌にレンタル移籍で加入。36歳を迎えるシーズンに新天地にやってきた。9年在籍した浦和から移籍を決意したのは、どのような経緯があったのか。

――◆――◆――

 浦和での出場機会が減っていた中で、昨年の夏に札幌からオファーをいただきました。僕にとって恩師であるミシャ(ペトロヴィッチ監督)が指揮を執っているチームでしたが、今の自分はサッカーに加え、とても大事な家族がいる。生活も考慮して浦和に残る方が良いと思い、断りました。
 

 ただ、夏以降もなかなか試合に絡めない状況が続き、悔しい思いがありました。その中で、再度オファーをいただいた。

 シーズンを終えて家族と真剣に話す中で、「札幌に行ってこい」と背中を押してもらえました。浦和も、レンタルという形にして僕の思いを尊重すると言ってくれました。

 一選手としてゲームで全力を尽くせない悔しい思い、浦和で引退するという決意、欲しいと思ってくれるチームがある限り頑張りたいという思い。苦渋の決断でしたが、札幌への移籍を決めました。

 こちらに来るにあたり、大切な家族から離れる選択をしました。生半可な気持ちで来たわけではありません。浦和が嫌になったワケではなくファン・サポーターにもチームにも感謝しかないですが、今は札幌の一員です。移籍に後悔はありません。
 

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