森保ジャパンに完敗を喫して7か月。それでも、カタールW杯の“大穴”オーストラリア代表に期待したい理由【コラム】

2022年10月21日 サッカーダイジェストWeb編集部

3人のGKは誰が先発しても安定感あり

大陸間プレーオフの死闘を通して、一枚岩の闘う集団へと進化したオーストラリア代表。W杯本大会でも旋風を巻き起こすか。(C)Getty Images

 いよいよ開幕まで1か月に迫ったカタール・ワールドカップ。私の母国であるオーストラリアと、第2の故郷である日本の代表チームは共に厳しいグループに入った。前者がD組でフランス、デンマーク、チュニジアと対戦し、後者はE組でドイツ、スペイン、コスタリカと雌雄を決する。

 正直に言って、予選の戦いぶりからしても、今回のサッカルーズ(オーストラリア代表の愛称)にはあまり期待していなかった。今年3月にはホームで森保ジャパンを相手に、0-2というスコア以上の内容で完敗。あの頃は本大会行きさえ危ないと見ていた。

 ところが、UAE、ペルーと戦ったプレーオフの死闘を経て、チームには修羅場をくぐり抜けた逞しさが備わったように感じる。もちろんポジティブな要素ばかりではないが、完全にアウトサイダーと目されているなかで、チームは虎視眈々と上位進出を窺っている。

 まずなによりも強調したいのが、予選プレーオフでも奮起したゴールキーパー陣の充実ぶりだ。現在のオーストラリア代表が一番自信を持つポジションである。

 マシュー・ライアン(コペンハーゲン/デンマーク)は74キャップを刻む経験豊富な守護神だ。今シーズンのチャンピオンズ・リーグ予選でハイパフォーマンスを披露し、チームを本戦に導く立役者となった。ペルーとのプレーオフで、運命のPK戦を任されたのがバックアッパーのアンドリュー・レッドメイン(シドニーFC)。ゴールライン上でキッカーの気を散らすように踊り、鮮やかなセーブでオーストラリアに本大会行き切符をもたらした。一躍ヒーローとなったスーパーPKストッパーは、オーストラリアがノックアウトラウンドに進出すれば、再びPK戦でその出番が巡ってくるだろう。
 

 そして大注目なのがもうひとり、Jリーガーのミチェル・ランゲラック(名古屋グランパス)である。私のお気に入りであり、名古屋での継続的で安定感のあるパフォーマンスは、広く日本のファンが知るところだ。昨年5月に一度は代表引退を表明したが、今年9月の国際Aマッチウイークで待望の復帰を果たした。

 ニュージーランドとの2連戦(どちらもオーストラリアが勝利)で出場機会は訪れなかったものの、ライアンがコペンハーゲンで第2GKに収まっている現状を考えれば、ランゲラックがワールドカップ本番で1番手に躍り出てもおかしくはない。グラハム・アーノルド監督もその経験とコンディションの良さに期待を寄せているはずだ。

 いずれにせよ、ゴールキーパーは3人の誰が先発してもクオリティーは高い。ワールドカップでは間違いなくオーストラリアの強みとなる。

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