ポジション奪取の“一瞬”を虎視眈々と狙う原口元気、11.23ドイツ戦に照準「必ず自分のタイミングが来る」

2022年10月16日 元川悦子

システム変更で問題はより深刻に

4-2-3-1で原口のベストな起用法は? 本人は「監督が使いたくなるようなプレー」に専心する。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

「最後までもがきますよ。どうやったらワールドカップのドイツ戦のピッチに立てるかってことを今、考えているし、最後のスタメン発表の前までもがきながら、そこを目ざしてやるだけなので。

 個人的にはかなり悔しい思いをこの4年間してきたので、終わり良ければ全て良しじゃないけど、監督が使いたくなるようなプレーをするしかない」

 9月27日のエクアドル戦前日、原口元気はこう語気を強めていた。

 だが、翌日のゲームは出番なし。結局、日本代表の9月シリーズは23日のアメリカ戦で、86分から鎌田大地と代わって4分程度、ピッチに立っただけ。

 しかもポジションは5-4-1の右ウイングバック。「サイドのポジションはあまりイメージが湧きやすくない」と言う本人にとっては、不完全燃焼感の強い終わり方だったと言うしかない。

 アジア最終予選から「クローザー」的な起用が続いていることもあり、一部ではメンバー26人から落選危機もささやかれる原口。今の日本代表において、彼の起用法には難しい部分があるのも確かだ。

 森保一監督が昨年10月のオーストラリア戦以降、ベースにしていた4-3-3の中盤は、遠藤航、守田英正、田中碧といったボランチを本職とする3枚のMFが中心。原口も6月シリーズではインサイドハーフで起用され、強度や球際の強さは体現していたものの、攻撃面で圧倒的な存在感を示したとは言い難いところがあった。それでも、本人は「ウニオンでやっていることを持ち込めばいい」と意欲的になっていたはずだ。
 
 だが、9月シリーズから4-2-3-1にシフトしたことで、問題はより深刻になったと言える。というのも、全ての中盤のポジションができる分、どっちつかずになってしまう傾向が強いからだ。

 ご存じの通り、原口はもともとボランチでもトップ下でもない。2015年に赴いたヘルタ・ベルリン、あるいはヴァイッド・ハリルホジッチ監督時代の日本代表ではボランチなどもやっていたことはあったが、森保監督は今現在、この2つの位置では考えていないだろう。

 そうなると、やはり左右のサイドのいずれかということになる。しかしながら、「4-2-3-1になったら僕的には厳しい。『やれ』と言われればできるとは思いますけど、(伊東)純也のように突破していくのは簡単じゃない」とどこか消極的になっている以上、指揮官としては使いづらくなってしまうのである。

 2018年のロシアW杯では、爆発的な推進力と献身的なアップダウンで敵を凌駕した原口を目の当たりにして、森保監督は「まだまだサイドで行ける」と考えているだろう。ただ、所属するウニオン・ベルリンでインサイドハーフを主戦場にするようになってからの原口は、「自分は外では勝負できない」という思いを強めている。そのミスマッチが代表での序列低下の一因になっているようにも映る。
 

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