“泥臭く戦うこと”をテーマに、U-17アジア杯予選を逞しく戦い抜く。「甘さたっぷり」だった若き日の丸戦士が示した確かな成長【U-16代表】

2022年10月13日 松尾祐希

U-17アジア杯予選はU-15世代の秋から1年後ろ倒しに

中東勢とも対戦した予選は4戦全勝。逞しい戦いぶりで来年5月の本大会行きを決めた。写真:佐藤博之

 国際舞台における基準や、異なる環境に身を置く難しさを、良い意味でも悪い意味でも知らなかった。日本の未来を担う選手たちにとって、実り多き活動となった。

 森山佳郎監督率いるU-16日本代表は、10月1日からヨルダンで行なわれたU-17アジアカップ予選に挑み、4連勝のグループ首位で来年5月の本大会行きを決めた。同大会は来秋に開催されるU-17ワールドカップの最終予選を兼ねており、日本は4大会連続での出場を目ざす。

 世界大会につながる今予選ではレギュレーションが変更され、東西を分けず一括りとなった。そのため、いきなり西側のチームと対戦することに。日本が属するグループAは5か国中3か国が中東勢。実力的には日本がひとつ抜けているが、守備を固めながらシンプルに縦に蹴ってくるスタイルは他ではそうそうお目に掛かれない。

 そうした相手と戦えた点は、最終予選を見据えたうえでもプラスで、海外での経験に乏しい選手たちにとっても大きな意味があった。U-16世代は国際試合を戦ったことがほとんどない。2020年の春先から流行した新型コロナウイルスの影響はもちろんだが、今予選からレギュレーションの変更でU-17アジアカップ予選がU-15世代の秋から1年後ろ倒しとなった。U-16世代を迎えてから戦うため、成長スピードが少なからず鈍化していた。

「今まではU-15で一次予選があったので、そこはやっぱり難しい」と指揮官が嘆いた通り、伸び盛りの選手たちにとって1年間の差はあまりにも大きい。海外勢と公式戦を戦える機会が1年遅れ、国際舞台の難しさや勝負の厳しさを知るタイミングが後ろにズレる。1年後にしか知れないとなれば、意識を高めるチャンスが失われた影響で選手の成長にも影響が出る。

「1年遅れできているので、まだまだ個人としても甘さがたっぷりだし、グループとしても甘さたっぷり」(森山監督)
 
 長きに渡ってこの年代を指導してきた指揮官の言葉には説得力があるし、選手たちの全てを物語っていると言っても言い過ぎではないだろう。

 実際に8月のウズベキスタン遠征ではイランに1−3で敗れ、デュエルの勝率も20パーセントほど。戦えないとスタッフ陣から何度も言われ、U-16代表は"安心して見ていられる"とは言えない状態で今予選を迎えた。
 

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