「左足で決めたのは初めて」鮮烈ゴラッソの菅原由勢が語る、AZ首位躍進の理由と自身の役割。前田との“元名古屋対決”には「直輝君のほうがファンが多いんで…」【現地発】

2022年10月10日 中田徹

現地記者は「これで日本代表のユキの序列が上がったな」

AZで4年目を迎えた菅原。いまやチームの主力に成長した。(C)Getty Images

 AZの菅原由勢が10月9日のユトレヒト戦で、今シーズンのオランダリーグ初ゴールを決めた。敵地で1点をリードして68分、味方からのスルーパスをペナルティエリア右側で受けると、切り返しで敵のスライディングタックルの逆を取り、カーブのかかった左足シュートをファーサイドに蹴り込んだ。

 アウェーサポーターと菅原がゴールを喜び合う。「なんと美しいゴールでしょう」とテレビの実況が叫ぶ。日本人DFのカタール・ワールドカップ出場を願う全国紙『アルヘメーン・ダッハブラット』の記者が「これで日本代表のユキの序列が上がったな」と微笑む。遠くに座る全国紙『デ・テレフラーフ』と専門誌『フットボール・インターナショナル』の記者たちが満面の笑顔でサムアップを私に送ってくる。

 しばし、敵地はAZのホームスタジアムのようになった。後にユトレヒトが1点を返し、AZが2-1の僅差で逃げ切ったことから、菅原のゴールはチームにとって非常に貴重なものだった。

【動画】冷静な切り返しから圧巻のフィニッシュ!菅原が決めた左足ゴラッソ
 右サイドバックを本職とする菅原は、第7節のアヤックス戦から3戦続けて右ウイングとしてプレーしている(カンファレンスリーグも含めると4試合連続)。ユトレヒト戦でも、立ち上がりから、シュートとクロスといった敵陣深い位置でのアクションを何度か見せていた。この時間帯の右足シュートが、後半に生まれたゴールの伏線になっていた。

「左足でゴールを決めたのは初めてでしたが、ああいう形のシュート練習はしていたので『練習通りにやれた』という感想です。前半から右足でシュートを打ってました。右足のシュートを見せることによって、相手のディフェンダーが早めに自分の右側を防ぎに来てたので、そこを切り返したところ、うまいことGKとシュートコースの間にDFが立っていたので、その外側を巻くイメージで打ったら入りました」

 右サイドからのゲームメーク、チャンスの起点作り、相手左サイドバックとのデュエルや牽制、自陣での守備、プレッシング――。『右ウイング、菅原由勢』のタスクは多岐に渡るうえ、4-3-3システムから5バックシステムへのスイッチャー役もこなしている。

「監督から言われていることは戦術的なことではなく、『ピッチの中で自分が感じたことをチームに伝えて、その中でいろいろやってくれ』ということです。僕自身が指示されることはあまりない。そういう意味でとても信頼してもらってます。試合中に自分が感じたことを発信していいということなので、その中でいろいろとプレーを使い分けながらやってます。自分でも成長を感じています」
 

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