[J１第32節]川崎３－２清水／10月８日／等々力陸上競技場

　サッカーは、何があるか分からない。

　権田修一が負傷したなか、迎えた前半終了間際。決定的な２点目のチャンスを逃して後半に入ると、わずか４分で失点。さらに57分に逆転ゴールを決められて万事休すかという展開に。

　苦境に立たされた川崎だったが、彼らを奮起させたのが、リーグ戦では2020年２月22日の鳥栖戦以来の声援。サポーターの声の後押しを受けた川崎は、山村和也、小林悠の２得点で再逆転する。

　その後、清水の猛攻にさらされるが、脇坂泰斗によると逆転負けを喫した札幌戦（31節／３－４）の経験を活かそうとの声がピッチ内で出ており、「やらせない守備っていうところができたのではないかなと思います」と胸を張った。

　どうにか勝点３を掴み取った等々力に、日産スタジアムの結果が速報される。果てしなく遠く感じていた勝点差が３つ縮まり「５差」になった。

　鬼木達監督が勝因の１つに挙げた声出し応援は、この清水戦を皮切りに、川崎が戦う10月のホーム３連戦で適用される。
 

「本当に声出し、応援のおかげで今日は勝てたかなと思っています」と話すのは谷口彰悟。そんな声出し応援を、優勝の可能性を残した状態で戦えるのはチームにとって大きな力になるのは間違いない。

　逆転でのリーグ優勝に向け、川崎に残された試合は３試合となった。直接対決はすでに消化済みのため、横浜の結果は動かせない。だから、川崎は目の前の１試合の勝利のために全力を傾ける必要があるが、現状は簡単ではないと考える。

　まず気になるのが怪我人の多さ。CBは札幌戦で負傷交代したジェジエウと車屋紳太郎が、清水戦ではベンチ外に。精密検査が必要だったチョン・ソンリョンの状態も不明なまま。橘田健人が出場停止から戻ってくるのは心強いが、知念慶が清水戦で新たに左肩を負傷して交代したのは気になるところ。

　３試合連続ゴール中の小林がここに来てコンスタントに得点を重ねられているのが心強いが、特に守備陣の選手層が薄くなっており、急遽出番が回ってきたGK丹野研太と、谷口、山村のCB２枚にかかる負担は大きい。