エクアドル戦で不発だった南野拓実。岐路に立つ森保ジャパンの「10番」、周囲のネガティブな声を一蹴できるか?

2022年09月29日 元川悦子

エクアドルのカイセドらのマークに遭い思うようにプレーできず

南野はエクアドル戦で先発出場し、67分間プレーした。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

 カタール・ワールドカップ(W杯)のメンバー発表が11月1日に正式決定した。9月シリーズに参戦した面々も残り1か月間、所属クラブでパフォーマンスを最大限に引き上げ、結果を残し続けないといけない。今回のアメリカ・エクアドル2連戦の出来が全てというわけではないのだ。

 希望を抱く1人が、10番を背負う南野拓実(モナコ)ではないか。ご存じの通り、今回の9月シリーズでは4-2-3-1のトップ下でエクアドル戦のみに出場。先発し、67分間プレーしたが、相手のモイセス・カイセド(ブライトン)らの激しい寄せに潰され、クサビのボールを受けられなかったり、前を向けなかったりと苦労の連続だった。

 見せ場らしい見せ場というのは、左SBぺルビス・エストゥピニャン(ブライトン)にハイプレスを仕掛け、ミスパスを誘い、古橋亨梧(セルティック)のビッグチャンスをお膳立てした40分の場面と、三笘薫(ブライトン)の左サイドの崩しにニアサイドで呼応し左足ボレーを放った57分の決定機くらい。

 彼と代わった鎌田大地(フランクフルト)が良い形でボールに関わり、攻撃のギアを一段階アップさせたことを考えると、低評価を与えられるのも、やむを得ないところだろう。
 
「ピッチがあんまり良くなかったんで、ワンタッチからしっかり止めて前を向こうという意識だったり、ボランチとの関係性を良くして、前向きな選手を早く見つけて出したかったんですけど、距離感が良くなかった。でも、ああいうところでしっかり収めて前を向いていく力は課題だなと感じましたし、もっとシュートに関わっていきたいと思います」と本人も悔しさをにじませた。

 森保ジャパン発足当初から主戦場にしてきたトップ下に、約2年ぶりに陣取り、躍動感を取り戻せるという期待が大きかった分、南野自身も失望感を覚えたに違いない。

 それも所属クラブでの現状によるところが大だろう。今夏に赴いたモナコでは、欧州トップ5に入るほどのハードなフィジカル強化を強いられ、疲労が蓄積。キレを出せない状態が長く続いたうえ、ポジションが目まぐるしく変わっているのだ。

「モナコでは(18日のスタッド・ドゥ・ランス戦のように)右サイドに入ることもあるし、左サイドも4-4-2の前目もやっている。2トップのトップ下にも数回入ったりしているし、システムも頻繁に変わるので、かなり流動的な感じです。それでも、代表に来た時の頭の切り替えは大丈夫。このチームでは4年間やってますし、もうワールドカップ前なんで言い訳はできない」と本人は神妙な面持ちで語っていたが、新天地での適応のハードルは想像以上に高いようだ。
 

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