【采配検証】なぜ旗手怜央と瀬古歩夢を一度もプレーさせなかったのか。相変わらず理解に苦しむ

2022年09月28日 加部 究

GKの最適解に辿り着いたのは最大の収穫

ドイツで2試合が組まれた9月シリーズで、瀬古(左)と旗手(右)の出場はなかった。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

[キリンチャレンジカップ]日本 0-0 エクアドル/9月27日/デュッセルドルフ・アレーナ

 エクアドルは、本大会へ向けていくつかの教訓を残してくれた。その点で秀逸なマッチメイクと言えた。

 アメリカが稚拙なビルドアップを続けてくれた初戦(2-0)とは対照的に、まったくプレスが機能しない前半はエクアドルの独壇場だった。日本は前半終了6分前になるまで、相手のペナルティエリア内に侵入できなかった。

 後半頭には最前線に上田綺世を送り込み、さらに67分にはトップ下に鎌田大地が入ったことで日本も攻撃の形を作れるようになったから、序列の見極めには確信が持てても、本番で指揮官が嬉しい悲鳴を上げるほどの好況とは言えない。

 当然、本大会直前になってようやくGKの最適解に辿り着いたのは、最大の収穫だ。確かに、森保一監督が代表で定位置に据えてからの権田修一は、リーグ戦でも充実のパフォーマンスを続けてきた。だが、「最後尾からしっかりとボールを繋げて」戦うスタイルを標榜し、世界基準を意識するなら、今までシュミット・ダニエルを選択しないほうが不可解だった。
 
 シュミットより10センチ身長が低い権田にゴールマウスを託すなら、横浜の高丘陽平に近いパフォーマンスを求める必要がある。逆にハイボールをキャッチできる可能性やキックの精度が高まれば、攻撃の質も比例して良化する。それは前回のワールドカップ、ベルギー戦でティボー・クルトワのキャッチから、痛烈なカウンターを食らった日本陣営なら身に染みているはずだ。

 一方で、森保体制で再三繰り返されてきて、相変わらず理解に苦しむのは、せっかく招集した瀬古歩夢や旗手怜央を一度もプレーさせなかった点だ。まず本大会で懸念されるのは、ディフェンスラインにどれだけコンディションの整った選手を揃えられるか、である。

 板倉滉が負傷離脱中で、冨安健洋も故障を繰り返しており、吉田麻也は連戦を託すのが難しい。レフティの伊藤洋輝の定着は喜ばしいが、せめて半分は瀬古にチャンスを与えてチームとしての伸びしろを追求しておくべきだった。
 

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