「攻撃を牽引している点は高く評価できる」ヘタフェ戦では沈黙も、久保建英の開幕1か月をソシエダ番記者は称賛!「残念なのが…」【現地発】

2022年09月15日 ミケル・レカルデ

能力を存分に発揮できるポジションだが…

ヘタフェ戦では古巣の厳しいマークに苦しんだ久保。(C)Getty Images

 ジョン・トシャックは、レアル・ソシエダの歴史において最も重要な監督の1人だ。1980年代前半にラ・リーガ連覇を果たし黄金時代を経たチームの新たな牽引役となった手腕だけでなく、カリスマ性に溢れる特異なキャラクターでも注目を集めた。

 そんな彼の個性を際立たせていたのが、英語のことわざや慣用句をそのままスペイン語に置き換えて使ってしまう癖だ。20年間スペインに滞在した後も、スペイン語がまるで上達しなかったことも背景にあったが、外国人特有のストレートな言い回しは、トシャックらしさを強調させていた。実際、レアル・マドリー時代に自らの発言の撤回を求められた時に発した「(サンティアゴ)ベルナベウの上空を豚が飛ぶよりあり得ない」という言葉は、監督解任の直接の引き金になったほどだ。

 ソシエダの監督時代に、ファンの間でお馴染みになった言葉の一つが、ヨーロッパカップ戦との比較において、ラ・リーガを毎日の朝食の「パンとバター」に喩えたものだ。平日に大一番を戦った後にルーティーンワークに戻る難しさを表現した言葉だが、オールド・トラッフォードで天国を味わった3日後にヘタフェで地獄に突き落とされたソシエダは今回図らずもそれを証明してしまった。

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 なかでももはや呪いと言っても過言でないのがコリセウム・アルフォンソ・ペレスでの相性の悪さだ。マンチェスター・ユナイテッド戦で全精力を使い果たした後の試合でパフォーマンスが上がらず、黒星を喫するのはまだ想定内だとしても、不甲斐ない内容に終始する中、開始50分で2ゴールをプレゼントし、おまけに鳴り物入りで加入したばかりのウマル・サディクが今シーズン絶望となる大怪我をしてしまうのだから始末に負えない。

 このスタジアムで普段と同じパフォーマンスを発揮できない理由を探すのは、徒労感に襲われるだけだ。タチが悪いのは選手たちたち自身もそれをどう解釈し、正当化すればいいか分かっていない様子であることで、こうして毎回訪問するたびに同じ石につまずくことになってしまうのである。

 低調な出来に終わったのは、タケ・クボ(久保建英)も同様だ。ダビド・シルバ不在時の代役を託す構想を持っているイマノル・アルグアシル監督は、メディアプンタ(トップ下)でスタメンに起用。アレクサンダー・セルロトとサディクの2トップ下で構える4-4-2のダイヤモンドの頂点で、タケにとって能力を存分に発揮できるポジションだが、相手の攻撃を無効化することを十八番にするチームを攻略するのは簡単ではなかった。

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