【浦和】鳥栖戦で課題を露呈。ラスト4節、浦和が昨年の悪夢を払拭するための条件とは?

2015年10月05日 塚越 始(サッカーダイジェスト)

鳥栖戦の勝点1が活きるかどうか……。次節10月17日、G大阪と因縁の対決。

鳥栖戦で先制点を挙げた興梠だが、勝利には導けず。しかし、この勝点1を次節のG大阪戦に活かしたい。写真:徳原隆元

「試合終盤の展開は、西川が(早坂との1対1を)止めていなければ1-2で負けていただろうし、試合終了間際の私たちのバーを叩いたシュートが決まっていれば勝っていただろう。トータルで考えれば、引き分けは妥当な結果だったかもしれない」
 
 試合後の記者会見、浦和のペトロヴィッチ監督の表情は終始冴えなかった。
 
 相手が10人掛かりで守りを固めてくる――。もはや今季の埼スタでは、見慣れた光景だ。森下監督に率いられた鳥栖も豊田や藤田という主力を欠くなかで、守備時は5バックでべた引きに守ってカウンター一発を狙う、という"負けなければOK。あわよくば勝利"という戦い方を選択してきた。
 
 浦和が鳥栖ゴールを攻略し切れなかったのは事実だ。「ラストパスの精度を欠いた。それに積極的にドリブルで相手をはがして行っても良かった。後方からフォローし局面で数的優位を作る動きも足りなかった」と、指揮官はいくつかの課題を挙げた。
 
 ただ、ここまで過剰に守備を固めてくるチームが相次ぐと(1、2チームでなく、多くのチームが同じように守備固めをしている)、さすがに浦和の選手たちには同情してしまう。浦和がボールを持つと5バックと3~4人の中盤でゴール前を固め、ボクシングで言えばガードとクリンチばかりという、観ている者には退屈な展開に持ち込まれる。
 
 もっとも、そんな相手の繰り出してくる捨て身のカウンターパンチをしっかり食らってしまう浦和も、まだまだ発展途上にあるということだが……。いずれにせよ、独自のスタイルやカラーがぶつかり合う対戦が(特に埼玉スタジアムで)限られるのは、浦和にとっては不幸に違いない。
 
 柏木は「鳥栖のクサビのパスへの守備やプレスが良かったのは事実」と認め、ペトロヴィッチ監督は「あそこまで割り切られると簡単には崩せない」と嘆いた。堅守がベースの鳥栖の守備がここまでハマれば、確かに1-1のスコアは「妥当」と言えた。
 
 そして、この鳥栖戦での「勝点1」がプラスだったのか、マイナスだったのか。それは次節の結果に委ねられる。
 
 2週間後の14節は、アウェーでのG大阪戦。因縁のカードが、再びシーズン終盤のこのタイミングで組まれた(今季屈指の好カードもあるのは間違いない)。
 
 しかも、その後、FC東京、川崎と上位陣との対戦が続く。浦和にとっては、G大阪戦がシーズン最終盤の流れを大きく左右する分水嶺になるかもしれない。
 
 鳥栖戦後の選手たちの言葉からは、ラスト4節に向けた修正点も見えてくる。

次ページ日本代表に復帰した司令塔の柏木は「もっと“感じて”前へ行くべきだった」と課題を挙げる。

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