6失点大敗から立ち直るも…開幕5戦未勝利のシャルケ。吉田麻也が指摘した課題は?「ディテイルが欠けている」【現地発】

2022年09月10日 中野吉之伴

熱望した板倉の残留は叶わず

今シーズンからシャルケでプレーする吉田。腕章を巻いてプレーするなど指揮官の信頼は厚い。(C)Getty Images

 敵地に駆け付けたシャルケサポーターが、歌声をシュツットガルトのホームスタジアムに響かすと、間髪入れずにシュツットガルトサポーターがシャルケを揶揄するチャントでその歌声を打ち消しにいく。昨シーズン、ブンデスリーガから消えていたやり取りだ。

 相手クラブに対するブーイングやヤジはそれぞれあるものの、シャルケへのヤジはなぜか各クラブ共通。シュツットガルトサポーターからのヤジの響きにどことなくうきうきしたものがあるように感じるのは気のせいだろうか。ブンデスリーガはシャルケの帰還を待っていた。

 昨シーズン2部リーグ優勝で無事一年での1部復帰を飾ったシャルケ。今季は5節終了時でまだ勝利がない。内田篤人が所属していた時代はチャンピオンズリーグの常連だったことを考えると、今の状況は寂しい。とはいえ、クラブの置かれている状況は当時と全く違う。

 昨年には2007年からメインスポンサーを務めていたロシアの半国営大手エネルギー企業『カスプロム』との契約を解除。その背景にロシアのウクライナ進行によるドイツ国内での反露感情の高まりがあったとはいえ、巨額の負債を抱える財政難に苦しんでいたクラブの経営情勢を考慮したら簡単な決断だったはずはない。

 それでも代表取締役のペーター・クネーベルやルーベン・シュレーダーSDは健全経営と明確なコンセプトによる新しいチーム作りを進める覚悟をブラさず、ガスプロムとの契約解除後すぐに地元ゲルゼンキルヒェンに本社を置く大手住宅会社『VIVAWEST』とのスポンサー契約を締結してみせた。スポンサー料こそ半分近くにはなったが、クラブとして方針の確かさを確認しあい、クラブ一丸となって新たな挑戦へ挑む決意を新たにしたはずだ。

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 金銭的に大型補強をすることはできない。マンチェスター・シティからレンタル加入でプレーしていた板倉滉は是が非でもレンタル延長か、完全移籍での獲得を熱望したが、その思いも夢となって潰えた。

 今シーズンの目標は1部残留だ。そのためにもいち早く勝点が欲しいのは誰もが思うところ。この日、CBでスタメンフル出場を果たした吉田麻也も「今日は勝ちたかった」とミックスゾーンで言葉をこぼした。67分、シュツットガルトDFヨシャ・バグノマンが2度目のイエローカードで退場処分となり、20分以上数的有利な状況だっただけに、もったいない試合だったのは言うまでもない。

 監督のフランク・クラマーはそこを認めながらも、戦いぶりには及第点を与えていた。

「インテンシブなパフォーマンスを見せてくれた。個人的なミスもあって不運な形で失点してしまった。起こるべきではないプレーだが、起きてしまった。だがそのあとチームはいい反応を見せてくれたと思う。全体的に規律だったパフォーマンスだった。終盤15分で3つのチャンスを生かすことができたら。もっとできたとは思うが、だが先週のウニオン(ベルリン)戦を考えると自分たちのいい面を見せることはできた。気持ちのある、チームとしてのプレーだった。成功の一部として勝点1を持ち帰る」

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