【連載】ミラン番記者の現地発・本田圭佑「指揮官を悩ます“トップ下問題”の裏側にあるものとは?」

2015年09月30日 マルコ・パソット

本田のここまでのパフォーマンスには失望を禁じえない。

ボールを受けてからのプレースピードが極めて遅く、敵DFの餌食になっている本田。昨シーズンと比較してもボールロストが極めて多く、今シーズンはここまでゴールもアシストも0と低調を極める。(C)Alberto LINGRIA

 いま、カーザ・ミラン(ミランのクラブ本部)の入口には、こんな貼り紙が貼ってあるかもしれない。
 
「急募、トップ下」
 
 なぜなら今のミランには、トレクァルティスタ(トップ下)でプレーすべき選手、もしくはプレーできる選手が複数いるが、いずれも及第点にすら届いていないからだ。
 
 ここまでの6試合では、トレクァルティスタにほぼ誰もいないも同然だった。スポットは本田圭佑の低調ぶりに当たっているが、事態はもっと深刻で根深いのだ。
 
 本田がもし「トレクァルティスタこそが自分の本来のポジション」と思っているのならば、ここまでのパフォーマンスには失望を禁じえない。
 
 そして、その適切な代役をシニシャ・ミハイロビッチはまだ見つけられていない。先のジェノア戦(9月27日のセリエA6節)では、ここまで主にインサイドハーフを担ってきたジャコモ・ボナベントゥーラが、ベンチスタートとなった本田に代わってトップ下を任された。このイタリア代表MFはオールマイティーな能力の持ち主で、多くの識者やファンがミランのトレクァルティスタに相応しいと考えている。
 
 しかし、マラッシ(ジェノアのホームスタジアム)で彼はネガティブな出来に終わり、チームも0-1で敗戦した。そして指揮官ミハイロビッチは、再び悩み始めている。
 
「トレクァルティスタをだれに託せばいいのか……」

次ページとにもかくにも「プレースピード」を上げる必要がある。

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