「あえて大海に飛び込んだ」宿敵マドリーを退団した久保建英の現状を古巣バルサの番記者はどう見ている?「ソシエダで絶対に改善すべき課題が…」【現地発】

2022年08月27日 ファン・ヒメネス(スペイン『AS』紙記者)

「タケは交代で退くまでポジティブな印象を残した」

古巣のバルサ戦では同点弾の起点となった久保。(C)Getty Images

 タケ・クボ(久保建英)は今シーズン、キャリアの分岐点を迎えている。

 シーズン途中にカタール・ワールドカップが控えているだけではない。タケはマジョルカ、ビジャレアル、ヘタフェ、そして再びマジョルカとレンタル移籍を繰り返してきた後、今夏、レアル・ソシエダに新天地を求めた。2019年6月にレアル・マドリーに加入して以来、続いていたレンタル生活に別れを告げたわけだ。

 たしかに6月に21歳になったばかりの若手だが、ラ・リーガ挑戦4年目でもある。ここからステップアップを図り欧州の舞台で活躍していくか、あるいはその逆か、そろそろ真価を問われる重要な時期に差し掛かっている。

 心強いのは、タケとソシエダのプレースタイルの相性の良さだ。これまでプレーしてきたチームと比較すると、その違いは顕著だ。まずマジョルカとヘタフェは攻撃陣が貧弱で、守備的な戦いを強いられた。

 ビジャレアルは、ウナイ・エメリが戦術の細部にまでこだわりを見せる監督で、その分、戦い方もタクティカルだった。一方、ソシエダはイマノル・アルグアシル監督が攻撃的なサッカーを志向し、チームにはピッチ上でタケと同じ言語で分かり合える選手が揃っている。

 近年、チーム編成を主導してきたのがロベルト・オラベSDだ。徐々に、しかし着実にソシエダを自分が理想とする色に染め上げてきた。ダビド・シルバ、ラフィーニャ、アドナン・ヤヌザイ、ブライス・メンデスといった獲得してきた選手を見れば、オラベがパスを交換しながらゴールを狙うスタイルを好んでいることが分かる。もちろんタケもそのひとりだ。

 ラ・マシア(バルサの下部組織の総称)で過ごした古巣のバルセロナ戦で目に付いたのは、勇敢さ、コンペティティブさ、大胆不敵さだ。対人守備にもカバーリング能力にも秀でた屈強なDF、ロナルド・アラウホに対峙しても動じることなく果敢にドリブル勝負を挑み、イエローカードを誘った。

 前半6分の同点ゴールもタケのチェイシングがきっかけだった。ソシエダは1-4で敗れたが、タケは交代で退くまで、ポジティブな印象を残した。

【動画】デ・ヨングからボールを奪取した久保が起点に!シルバ→イサクと渡ったソシエダの同点弾

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