「シルバと見分けるのに苦労した」久保建英のバルサ戦、ソシエダ番記者は評価は? 「鋭いプレスは蜂が刺すよう。怠ってしまったのが…」【現地発】

2022年08月24日 ミケル・レカルデ

控えめに言って疑わしいプレーだった

古巣のバルサ戦でスタメン出場し、69分までプレーした久保。同点ゴールの起点となった。(C)Getty Images

 ラ・リーガ第2節、レアル・ソシエダ対バルセロナ戦は、サン・セバスティアンの8月の夏祭り、セマーナ・グランデ期間中に行われた。この祭りの呼び物が、子供たちを喜ばせるヒガンテス(巨人人形)とカベスードス(大頭人形)だ。カベスードスは袋で殴打してくるが、力が入っていないので全く害はない。一方のヒガンテスは、バスク地方の民族楽器であるチストゥとドゥルザイナの音色に合わせて周囲で踊る。

 今回の一戦はいうなればヒガンテスとカベスードスの戦いのようだった。ソシエダは、優勢に試合を進めたが、飛ばし過ぎたため60分過ぎから運動量が低下。イマノル・アルグアシル監督の交代の遅さもマイナスに響いた。またしてもチャンスを得点に結びつけられない決定力不足を露呈する形となったが、それはまるで子供たちの背中に弱々しい殴打しかしないカベスードスだった。

 対するバルサは終盤、豪華なベンチメンバーを有効活用し、一気に点差を引き離した。その戦いぶりは、高みの見物を決め込んでから自分たちの掟を押し付けるヒガンテスのようだった。

 ファンにとっては待ちに待ったホーム初戦だった。セマーナ・グランデも重なり、レアレ・アレーナはまさにお祭り騒ぎだった。22時という子供たちにとっては遅すぎるキックオフ時間にもかかわらず、その雰囲気はソシエダが強豪を打ち負かした過去の偉大な夜を思い起こさせた。音と光で彩られた選手入場セレモニーがさらにムードを盛り上げ、その主役のひとりがタケ・クボ(久保建英)だった。
 

 ソシエダでの公式戦デビューとなった前節のカディス戦で日本人選手は、決勝点を含め、チームに勝点3をもたらす素晴らしいパフォーマンスを見せた。スタジアム周辺では、タケの名前入りの、今シーズン用にデザインが新調されたユニホームを着た子供たちをそこかしこで目にすることができた。クボフィーバーは、多くの支持者と大きな喜びを約束する存在となりそうだ。

 試合は、これ以上ないほどスリリングな幕開けとなった。立ち上がりから"電流"全開のタケはわずか10秒後にボールを奪い、その15秒後にはフレンキー・デ・ヨングとの接触でボックス内で倒されるもノーファウル。控えめに言って疑わしいプレーだった。

 しかもソシエダにとって悪いことに、ボールがタッチラインを出ないままバルサの電光石火のカウンターが発動。時計の針が1分を回る前に先制を許した。

 しかし、ソシエダは動じることはなかった。タケも変わらず攻守両面で奔走。攻撃のあらゆる局面に顔を出し、蜂が刺すような鋭いプレスをかけ続けた。6分の同点ゴールもタケのチェイシングがきっかけとなった。デ・ヨングがたまらずボールをこぼしたところをダビド・シルバが回収し、そのままアレクサンデル・イサクがネットを揺らした。

【動画】デ・ヨングからボールを奪取した久保が起点に!シルバ→イサクと渡ったソシエダの同点弾

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