異例のW杯開幕日変更はなぜ起きたのか? “3番目の試合”を希望していたはずのカタールが突然の「心変わり」

2022年08月12日 リカルド・セティオン

「やはり自分たちは開幕戦でプレーしたい」

組分け抽選会の時点では21日の19時開催を希望していたカタールだったが…。(C)Getty Images

 開幕まで100日となったところで、カタール・ワールドカップの日程が突如として変更された。

 すべてはカタール・ワールドカップの大会組織委員会がFIFA(国際サッカー連盟)に送った一通の手紙から始まった。

 元々、開幕日の11月21日には、4試合が組まれていた。13時からセネガル対オランダ、16時からイングランド対イラン、19時からカタール対エクアドル、22時からはアメリカ対ウェールズ。大会オープニングセレモニーは開催国カタールの試合前に行われることになっていた。

 私を含め、開幕戦の前に開会式が行われないのも、開催国がプレーしないのにも違和感を覚える者は大勢いたと思うが、もともとカタールW杯は通常とは違うことが多すぎるため、「まあ、そんなものなのだろう」と思っていた。

 ところがここにきて大会組織委員会が、やはり自分たちは開幕戦でプレーしたい。だから開幕を1日前倒しにしてほしいと、FIFAに訴えてきたのだ。

【PHOTO】敵も味方も関係なし…ワールドカップの美しき光景
 2006年のドイツ大会から「開催国は大会の初日にプレーする」ということが慣例となっている(それ以前は前回大会の優勝国が開幕戦を戦った)。しかし大会初日に複数の試合が行われる場合は、何試合目をプレーするかまでは決まっていない。だから、ドイツ大会も、2014年のブラジル大会も、2018年のロシア大会も、確実に開幕戦にプレーするために、開幕日には1試合しか組まなかった。

 ところが今回のカタール大会は、グループステージの段階では1日に4試合が行われる。大会が11月、12月というヨーロッパのシーズン真っ只中に行われるため、FIFAが各国クラブの反発を考え、28日間という史上最短の期間に試合を詰め込んだ結果だ。

 それでも事前に打診しておけば、カタール開幕戦をが戦うことができたはずだ。2010年大会の開幕日には2試合が行われたが、ちゃんとホスト国の南アフリカが第1試合をゲットしている。おしらくカタールは、こうしたことに興味がなかったのだろう。我々記者たちの間ではそう言われていた。だが…。

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