「大きな進歩が見られる」ドイツ2年目の田中碧に飛躍の予感。指揮官も太鼓判を押す能力で、デュッセルドルフを「ワンランク上のチーム」に【現地発】

2022年08月11日 中野吉之伴

「入るときは入るし、入らないときは入らない」

デュッセルドルフで2シーズン目を迎えた田中。(C)Getty Images

 日本代表MF田中碧、U-21日本代表DF内野貴史、U-21ドイツ代表MFアペルカンプ真大がプレーするフォルトゥナ・デュッセルドルフはブンデスリーガ部で開幕連勝スタートに成功した。

 初戦昇格組のマグデブルクを2-1で下すと、2節ではパーダーボルンにも2-1で勝利。パーダーボルンは開幕のカールスルーエ戦を5-0で快勝するなど、特にリズムカルでバリエーションに富んだオフェンスへの評価が非常に高いチームだ。

 デュッセルドルフ監督ダニエル・トゥーンもパーダーボルン戦後の記者会見で「1-0としたあと、ゲームの主導権を相手に奪われていた。これに関してはパーダーボルンをほめざるを得ない。彼らのポゼッションサッカーは非常に良く、我々は問題を抱えさせられた」と正直な心情を明かしている。

 1点差で終盤を迎えるという試合展開は昨シーズンのデュッセルドルフが一番苦手としていたものだ。いい形で得点を奪い、悪くない形で試合を運びながら、終盤に同点、逆転されたことが何度あったか。
 
 DFアンドレ・ホフマンは「今日のようなフィフティフィフティのゲームは昨シーズンだったら2-2で終わっていたかもしれない」とコメントしていた。

 それだけに相手に追い込まれる時間帯が多くても、最少失点に食い止め、勝ち点3を手にしたことの価値は非常に大きい。

 トゥーン監督もその点を強調していた。

「全ての状況においてベストの解決策を見出せたわけではないが、とても素晴らしい守備をしてくれたし、少ない状況をうまく生かすことができた」

 この試合フル出場を果たし、数多くのボール奪取と的確なパスワークで攻守に起点となる働きを見せていた田中は、どのように捉えているのだろうか。

「いい結果じゃないですか。自分の中ではこの試合が大事だなと思っていた。次カップ戦の前に、(開幕戦)5-0で勝っている、そういうすごくいい状態のチームに対して、ここでしっかりと相手に負けをつけるっていうのはすごく大事だなと思う。リーグを戦ううえでは、そういう相手に対してしっかりと勝てたのは良かった」

 後半押し込まれた時間帯が続いたことに関しては「後半ああやって勝ってると特にこのリーグはああいう展開になりやすいですけど、その中でしっかりと守りきれたのが良かった」と理解を示しつつ、「その(流れが)いいときにどれだけ修正できるのかっていうのがすごく大事だと思う」と今後に向けての取り組みに言及していた。

「(ゴールは)入るときは入るし、入らないときは入らない。それがサッカーだし。どんだけ崩されても入らないときは入らない。もちろん(流れが)悪いときは(相手チャンスが)全部入るときもあるかもしれない。そういうときに修正するってのはすごく難しい作業。こういう良いときだからこそそういうものに対してどれだけ厳しく自分たちに目を向けて、求めていくかってのはすごく大事なのかなと思ってます」
 

次ページ「田中にまだ改善すべきポイントはあるか?」と質問を受けた指揮官は…

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事