「日本人にはあまり見られない」ソシエダ番記者が評価した久保建英の“姿勢”とは? 一方で課題も指摘「避けては通れない」【現地発】

2022年08月03日 ミケル・レカルデ

「線が細く得点力も低い。ソシエダが求める選手ではない」

ボーンマス戦で64分からピッチに立った久保。写真:Ricardo Larreina/アフロ

 奇跡のような出来事だった。昨シーズン、イマノル・アルグアシル監督の下でレアル・ソシエダが3年連続でヨーロッパリーグの出場権を獲得したことだ。数字は正直であり、ごまかしがきかない。ソシエダは、最終的に40という降格チームのような何とも寂しい得点数で欧州行きを決めた。

 ちなみに一昨シーズンの得点は59、19-20シーズンは56だ。これは攻撃陣全体の得点数が減少した結果だが、だからこそ今夏の移籍メルカードにおいて取り組むべきテーマは「ゴールを探すこと」だった。

 そんな中、クラブはタケ・クボ(久保建英)、ブライス・メンデス、モハメド=アリ・チョの3人のアタッカーを獲得。しかしここまでのプレシーズンマッチを見る限り、チームが高みを目指し続けるにはあまり信頼できる解決策とは言えなさそうだ。3人ともチャンスメーカーとしては優秀だが、これまでのキャリアを振り返っても、得点面では特筆すべき成果を挙げていない。クラブが今後、ストライカーをもう1人獲得する可能性は否定できないだろう。

 タケは、ボーンマスとの一戦で、再び好パフォーマンスを見せた。今回はスタメンを外れ、チームがすでに2-0とリードしていた64分に登場した。ポジションは4-3-3の右インサイドハーフ。前方のウイングに入った地元出身のウイング、アンデル・マルティンをはじめ、周りに多くの若手に固まれた中、タケは攻撃を牽引した。

 ボールに関与し、様々な局面に顔を出す彼と、パスを多用してコンビネーションで相手ゴールに迫るソシエダのサッカーとの親和性は高い。とりわけプレーに気品があり、足下の技術がしっかりしたホン・アンデル・オラサガスティと相性の良さを見せ、2人の連携から何度もいい形で攻め込んだ。

 しかし、オラサガスティのバックヒールによるアシストから生まれたこの日一番のチャンスでは、左足で放ったシュートはDFにブロックされ、ネットを揺らすことができなかった。

【動画】いい連係から決定機を迎えるも、決められずに頭を抱える久保

 タケが飛躍を期してソシエダに移籍したのは周知の事実だ。早くも才能の片鱗を見せているのはこれまでレポートしている通りだが、同時にその過程の中で得点感覚に磨きをかけることは避けては通れない道だ。

 タケの加入時に一部の地元メディアの間で批判の声が上がった。まともにプレーを見たことがない輩による戯言が大半だったが、その中には、「線が細く得点力も低い。ソシエダが求める選手ではない」といった類の傾聴に値する意見もあった。

 デビュー戦のボルシアMG戦もそうだった。アンデル・マルティンの絶妙なパスから抜け出し絶好機を迎えたが、タケはドリブルを選択し、相手GKに読まれた。

 もちろんこの決定力を高めるというのはタケだけではなく、攻撃陣全体の問題だ。昨シーズンのような奇跡はそうそう起こらない。同様の傾向が続けば、常にリスクと隣りあわせで毎試合戦っていかなければならない。

【動画】久保建英の2連発!GKの足下を抜く左足強烈弾&ジャンピングボレー

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