藤田は先発へ、細谷は得点が必要な場面で投入か。E-1優勝のかかる韓国戦で、パリ五輪世代は存在感を発揮できるか

2022年07月26日 元川悦子

ギラギラした選手が必要不可欠

藤田は香港戦で存在感を見せた。写真:塚本凜平(サッカーダイジェスト写真部/JMPA代表撮影)

 7月24日のE-1選手権第2戦・中国戦で、日本はシュート20本を放ちながら、まさかのスコアレスドローに終わった。2013年韓国大会以来のタイトルを獲得しようと思うなら、27日の韓国との最終決戦で勝利するしかない。

「韓国には勝てる気しかしない。『絶対に叩く』っていう心の準備ができている」とキーマンになりそうな相馬勇紀(名古屋)も強調していたが、同じカタール・ワールドカップ出場国に勝って初めて国内組の価値を示せると言っていい。

 そこで注目されるのが、2024年パリ五輪世代の若手たちの動向だ。

 6月のU-23アジアカップに参戦したメンバーのうち、今回は鈴木彩艶(浦和)、藤田譲瑠チマ(横浜)、細谷真大(柏)の3人が招集されているが、25日の練習を見る限りだと、藤田は先発入りしそうな見通しだ。

 すでに19日の香港戦でフル出場し、横浜の同僚・岩田智輝とダブルボランチを形成。序盤こそポジションバランスに苦慮したが、持ち前の統率力とリーダーシップを発揮してチーム全体を動かした。加えて、球際や1対1の強さ、小気味いいパス出しを披露。弱冠20歳とは思えない存在感を見せていた。
 
「でも個人的にはもっとやらないといけないことが沢山あった。ボールを奪った後のファーストプレーのところでまた相手に奪われてしまうシーン、ラインを割ってしまうシーンが多くあったので、そういうところは直していける。攻撃でも自分のところでテンポを出して正確なパスで相手を困らせるシーンをもっと増やせた」と本人は収穫より課題に目を向けていた。

 その向上心は非常に頼もしい。韓国のように気迫を前面に押し出してくる敵に対しては、藤田のようなギラギラした選手が必要不可欠。まずは中盤の争いを制して、先月のU-23アジアカップの再現を果たしたいところだ。

 本人も「ウズベキスタンでやった時の韓国の印象は、個人個人の能力がすごく高くて、スピードのある選手が多くいるなと。今回の相手にそういう選手がいるのなら、自分のボランチのところでカウンターの起点を潰せたらいい」とコメント。やはり自身の守備やボール奪取力がカギになると考えている様子だ。確かに24日の香港戦を見ても、4-3-3の韓国は中盤の展開力やパス出しから攻撃が始まっていることが多かった。やはり藤田が担う部分は重要だと言ってよさそうだ。

 ただ、彼が日韓戦で異彩を放ったとしても、カタール行きのメンバーに名を連ねるのは少し難しいかもしれない。というのも、ご存じの通り、中盤には欧州組の遠藤航(シュツットガルト)、守田英正(スポルティング)、田中碧(デュッセルドルフ)という最終予選不動のトリオがいるからだ。加えて柴崎岳(レガネス)、原口元気(ウニオン・ベルリン)、鎌田大地(フランクフルト)らも控えていて、実績や経験値でどうしても見劣りする部分は否めない。
 

次ページE-1で大きな手応えをつかんでおきたい

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事