【E-1なでしこ】僅差の勝負を勝ち切る――成長示した韓国戦。10番・長野は「守りながら点を取って勝てたのはプラス」

2022年07月20日 西森彰

密にコミュニケーションを取り連係を築く

一度は同点に追いつかれるも、長野(10番)の得点で突き放す。難敵相手に競り勝った経験は今後に活きるはずだ。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

 なでしこジャパンが、7月19日に行なわれたE-1選手権の初戦で韓国を相手に、苦しみながらも2-1で勝ち切り、勝点3を手にした。

 33分、成宮唯(INAC神戸)が右サイドから仕掛けて、一度は奪われかけたボールを拾い直して折り返すと、左サイドからゴール正面に入ってきた宮澤ひなた(仙台L)がきっちりと流し込んで、先制した。高い位置でボールを奪い返しての理想的なアタックだった。

 そこから韓国の圧力がさらに増してきた。今年初めのアジアカップでの対戦時は、5バックで守備偏重の構えをどう崩すかで手を焼いたが、守備で危ないシーンはそれほど多くなかった。それが、今回の対戦では、韓国がゴール前へのロングボールを多用し、主導権を握りにきたため、緊張感が高まった。

 今大会の日本は、国内組中心のメンバー編成に。池田太監督は、韓国の特長のひとつとして、前線に入れて来るロングボールへの対応がカギになることを伝え、海外組の熊谷紗希、南萌華が務めてきたCBに、乗松瑠華(大宮V)、高橋はな(浦和L)を起用した。

 この日、キャプテンマークを巻いた右SBの清水梨紗(ベレーザ)は「練習でも、(最終ラインは)今日の4人でやることが多く、自分も2人に伝えることが多かった」と明かす。大会前の練習から、ラインの上げ下げやクロス時の立ち位置などを含め、密にコミュニケーションを取りながら、連係を築いてきたという。
 
 両CBの奮闘を、指揮官は「韓国の長いボールへの対応がしっかりとできた。守備の粘りなど修正ポイントはあるでしょうけれども、コミュニケーションを取りながら前線の選手へ対応できていた」と評価した。

 1-0で迎えた59分、ボックス内に侵入されたチ・ソヨンに、巧みに立ち回られて同点弾を決められた。同じように、先制しながらも追いつかれて1-1のドローに終わったアジアカップの悪夢が頭をよぎったが、この日の日本は違った。清水は、結果に結びつけられた要因として「失点した後にすぐゴールを奪うことができたから」と言う。

「やっぱり、失点後、すぐに取り返せたところがとても力強かった。失点は、もっともっと突き詰めていかなければいけない部分ですが、そういうなかで、失点から5分くらいで、もう一回落ち着きを取り戻せたのが今回の勝因かなと思います」(清水)
 

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