「ゼロで抑えたかった」。柏GK佐々木雅士が噛みしめた“完封勝利”。パリ五輪目ざす大岩Jで正守護神になるための飽くなき挑戦

2022年07月12日 松尾祐希

U-23アジア杯では唯一、出場機会に恵まれず

柏のゴールマウスを守る佐々木。キム・スンギュの退団で、さらに責任感を強くしている。写真:鈴木颯太朗

[J1第21節]鳥栖0-1柏/7月10日/駅前不動産スタジアム

 試合終了のホイッスルが鳴ると、両手の拳を空に向かって掲げた。雄叫びを挙げ、勝利を噛み締める。

「ウズベキスタンから帰ってきて、失点を重ねることが多かったので……。ゼロで抑えたいという気持ちはすごく強かった」

 柏レイソルのGK佐々木雅士にとって、これ以上の敗戦は許されなかった。

 直近のリーグ戦3試合で7失点。U-21日本代表の一員として臨んだ6月のU-23アジアカップを終えてから再びチームに合流したが、鳥栖戦を迎える時点で3連敗を喫していた。もちろん、全ての失点が自分のせいではない。とはいえ、少なからず責任を感じていたのも事実。無失点に抑え、チームに勝利をもたらすことしか考えていなかった。

 4試合連続で先発出場を果たした佐々木は序盤から冷静にプレーし、ハイボールや最終ラインの背後に蹴り込まれたボールにも冷静に対応。90分を通じて4本しかシュートを放たれなかったため、見せ場は多くなかったものの、巡ってきた守備機会は無難に処理していく。

 攻撃でも正確なキックでショートカウンターの起点となるなど、的確な状況判断でチームにリズムを生み出した。

 最後まで無失点に抑え、チームも19分に奪った武藤雄樹のゴールを守り切り、4試合ぶりに勝点3を獲得。佐々木は今季のリーグ戦において、14節・FC東京戦(0-0)以来の完封、そして待望の"完封勝利"を果たし、仲間と勝利の喜びに浸った。
 
 思い返せば、ここ2か月は様々なことがあった。カップ戦で出場機会を得ていたなかで、FC東京戦ではコンディション不良で欠場した守護神キム・スンギュに代わり、リーグ戦では今季初となる先発出場を飾る。

 そこから3試合連続でスターティングメンバーに名を連ね、チームも2勝1分で好調を維持。心身ともに充実した状態で、 U-23アジア杯が開催されるウズベキスタンへ向かった。

 しかし――。U-21代表では控に甘んじ、招集されたメンバーでは唯一、出場機会が一度も巡ってこなかった。レギュラーを務めた鈴木彩艶(浦和)、柏の下部組織時代のチームメイトでもある小久保玲央ブライアン(ベンフィカ)の牙城を崩せず、悔しい想いを味わう結果に。
 

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