期待を裏切る無得点でも「楽しかった」と語る岡崎の真意は?

2015年09月04日 広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)

アジアの戦いにつきまとう命題。その打開策はコンビネーションにあり。

前半、最終ラインの裏に抜け出した岡崎がゴールを狙うもシュートは枠を外した。写真:佐藤 明(サッカーダイジェスト写真部)

 楽しかった、という言葉には少なからず違和感を覚えた。
 
 勝点3が最低限のノルマだった試合で、本田と吉田のシンプルな一撃、こぼれ球を押し込んだ香川のゴールで、日本は無事に3-0の勝利を収めた。しかしながら1トップを務めた岡崎は、前後半で3本ずつ、チーム最多の6本のシュートを打っておきながら、無得点に終わっている。

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 試合前日の練習後には「点を取れなければ、自分はいらない存在」とまで言い切っていた男が、目に見える結果を出せなかったのに、楽しかった、だ。
 
 その真意は、多くのチャンスに絡めたからだろう。人数を割いて守りを固めてくるカンボジアに対し、「隙をあまり見出せなかった」と手を焼いてしまった。だが、「ボックス内で勝負をしたくて、パスの受け所はたくさんあったし、そこでチャレンジできた。ミスも多かったけど、成功した時もあった」からこそ、感触はそこまで悪くなかった。
 
 もちろん、「ボックス内では、単純な技術で勝負していかないといけない。それはまだまだ必要な部分」であり、「決めるところで決めないといけない」と反省する。
 
 楽しかったが、無得点に終わっているだけに、「自分の出来は良くなかった」。それは本人も十分に理解している。もっとも、この日、狙いとしていたことは「これからも続けていって、クオリティを徐々に上げていくのが大事」だと岡崎は確信している。
 
 コンビネーション――理想とするのは、71分のシーンだ。
 
 山口からの縦パスを岡崎が落とし、宇佐美が惜しいシュートを放つ。ゴールにはつながらなかったが、息の合った連動性ある崩しで決定機を演出してみせた。
 
相手が引いた状態で、いかにゴールをこじ開けるかは、アジアを舞台にした戦いでは常につきまとう命題だ。その打開策として、岡崎はコンビネーションの重要性を改めて痛感していた。
 
 ゴール前の密集地帯を切り抜けるには、「味方と良い距離感を保って、自分が上手く落としてワンツーしたり。そういうのが結局は必要になる」と言う。
 
 サイドを深く抉ってそこからクロスを放り込んでも、「このレベルでもひっかかる」ケースはままある。となれば、「あれだけ俺らも押し上げて、リスクはあるかもしれないけど、やっぱりコンビネーション」に活路を見出そうとしていたのだ。

次ページ脳裏をかすめた、あのギリシャ戦の苦い思い出……。

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