サッカーアナリストが見たチュニジア戦|実は破綻していなかった守備。サイド攻撃を得点につなげるために必要なこととは?

2022年06月16日 杉崎健

攻撃はペナルティエリア内に入る回数が少なすぎた

伊東(写真)ら右サイドのローテーションは上手くいっていた。写真:金子拓弥 (サッカーダイジェスト写真部/JMPA代表撮影)

 キリンカップ決勝戦のチュニジア戦、0ー3という結果は残念です。課題が見えた試合で、攻撃の課題がより大きかったと感じています。

 前半は、攻撃の形が右サイドからしか作れなかった印象がありました。伊東純也選手の縦の突破に加え、ハーフスペースに入ると長友佑都選手や原口元気選手が外に出るなど、右サイドのローテーションは上手くいっていました。左サイドは南野拓実選手が立ち上がりこそ裏抜けが何回かありましたが、それ以降は外に張ることも減り、ローテーションは見られませんでした。

 後半に入ると、三笘薫選手を投入し、南野選手のポジションを中に入れて左サイドの形が変化。真ん中では、同じく途中交代の田中碧選手がボランチに降りて遠藤航選手とダブルボランチ気味となりローテーションするなど、工夫しようとする様子は見られました。

 ただ、ペナルティエリア内にほとんど入れませんでした。私の集計で、前後半合わせて11回。その要因は中に人が少ないことも挙げられます。日本代表は両ウイングを起点に仕掛けられるのですが、中で点を取る人が、質・量ともに足りない。浮き球のクロスはほとんど通っていません。
 
 サイドの選手がボールを持っている時に、「逆サイドのウイングやインサイドハーフの選手たちは、必ずペナルティエリアに入りましょう」といった約束ごとを作る必要があると思います。もしあるとしても、現象として明らかに入れていないので、徹底させることですね。

 ペナルティエリア内に入る人数として、3人とか4人以上とか具体的な数字を示す。センターフォワードが1枚しかいない今のシステムの中で、3人、4人と入っていくのは誰なのか。詰めていかないと、難しいと思います。

 今回に限らず、ワールドカップのアジア最終予選でもクロスボールに対し4人、5人と入ってくるシーンはあまり見られませんでした。チームの約束というより、リスクマネジメントを考えているかもしれません。ドイツは直近の試合でイタリアを相手に5点を決めましたが、最初のゴールも3点目も中に4人いました。それくらいの迫力が見たいですね。

 また、サイドからの突破やクロスへの対応ももちろん大事ですが、中央からも崩せるようになる必要もあると思います。相手からすると、中を固めて外に出させて、そこで対応すればいいとなってしまうので。
 

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