森保Jはシステムの奴隷になっている。4-3-3の初期配置で硬直、不満と不安を残す6月4連戦に

2022年06月15日 清水英斗

4-3-3のミラーゲーム。システム運用の完成度ではチュニジアが上だった

日本代表はチュニジアに0-3の完敗。アンカーの遠藤にマークが集中し、苦戦を強いられた。写真:金子拓弥 (サッカーダイジェスト写真部/JMPA代表撮影)

 キリンカップサッカー2022の決勝。日本はチュニジアと対戦し、0-3で敗れた。

 日本は前半から再三訪れた決定機をものにできず、スコアレスで折り返すと、後半はミスを連発。自滅的な敗北を喫し、約5か月後のカタール・ワールドカップへ向け不安を残した。

 日本とチュニジアはともに[4-3-3]。システムは同じだが、運用の完成度ではチュニジアが上だった。[4-3-3]は配置の急所として、センターフォワードの裏が空きやすい。相手のアンカーが立つ、このスペースをどう管理するかにより、守備のスタートの成否が決まる。

 チュニジアはセンターフォワードのタハ・ヤシン・ケニシが下がり、アンカーの遠藤航をマークすることで、急所となるスペースを抑えた。ケニシがマークできない状況では、後方からアンカーのアイサ・ビラル・ライドゥニが前へ出て、代わりを務めた。
 
 日本はケニシが下がるため、基本的にセンターバックはプレッシャーを受けず、後方でボールを持つことは容易だった。しかし、そこから縦へ運ぶのが大変だった。相手はMF3枚にケニシを加えた4枚が中央を抑えているため、中にスペースがない。

 序盤はサイドからボールを運び、伊藤洋輝から前線の南野拓実へのスルーパスなどで攻略に成功したが、チュニジアはサイドへのアプローチを鋭くしたり、スルーパスに対するDFのスライドを速めるなど、対応した。日本としては一度中央へボールを入れ、相手の守備を集結させてから、サイドへ展開しようとするが、その前に中央でボールを刈り取られる場面が目立った。

 日本がサイドからビルドアップするためには、例えば吉田麻也や板倉滉が少しワイドに張って、サイドバックの伊藤や長友佑都を高い位置へ送り出してもいい。これによって、相手ウイングに対応を迷わせることができる。

 あるいはマークされた遠藤がサイドへ出て、インサイドハーフの鎌田大地がアンカーの位置へ斜めに下りるか。この場合も、相手FWやMFに「どこまで付いていくか?」と迷わせることができる。

 しかし、日本はあまりこうした工夫がなかった。チュニジア戦に限らず、この4連戦、日本はシステムが硬直化していた。[4-3-3]の初期配置で固まってしまい、立ち位置を動かせていない。システムの奴隷になっている。
 

次ページ森保監督のやり方を完全否定するつもりはないが…

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