三笘薫の言葉が重い…「場当たり的すぎる」森保ジャパンは、W杯までに共通認識を作れるか?

2022年06月15日 白鳥大知(ワールドサッカーダイジェスト)

旧態依然としたチームがワールドカップでベスト8など…

三笘(左)や田中(右)などフロンターレで組織的戦術を体験した選手は、今の場当たり的な日本代表のサッカーに違和感を覚えているか。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部/JMPA代表撮影)

 森保一監督が率いるここ4年間の日本代表については、個人的にずっと1つの疑問を抱いていた。
 
「攻撃に共通意識や明確なデザインがないのではないか?」
 
 森保ジャパンはここまで、52試合で計115ゴールを挙げてきた。しかし、その大半が偶発的なコンビネーション、そして個人技から生まれていた印象だ。両サイドのウイングとSBからのクロス、田中碧と守田英正を中心とした細かいパスワークなどを除けば、チームとしての攻撃の狙いがほとんど見えない。実際、森保監督は記者会見で、「選手には個性を出してほしい」と半で押したようなコメントを繰り返し続ける。よく言えば個性の尊重、悪く言えば丸投げに聞こえた。
 
 もちろん、代表チームはトレーニング期間がかなり限られるうえ、そもそも寄せ集めの集団でもある。クラブチームのように高度な戦術/組織を練り上げることは難しい。例えばリバプールやマンチェスター・シティと比較すれば、フランス代表やブラジル代表はそれほど緻密ではない。
 
 それでも、チームの拠り所となる最低限の配置や狙い、デザインは必要だろう。日本代表のように個で打開できるワールドクラスのアタッカーが不在で、強豪国には組織で対抗するしかないチームなら尚更だ。11月に開幕するカタール・ワールドカップでは、明らかに格上のドイツ代表とスペイン代表、そしてほぼ同格と見ていいコスタリカ代表とグループステージを戦うだけに、個はもちろん組織をとりわけ練り上げる必要があるのは、誰の目にも明らかだ。
 
 個人的には、森保ジャパンにも最低限の決まり事やメカニズムがあるのではないかと微かな希望を持っていた。それがピッチ上であまり反映されていないだけではないのかと。戦術や組織力が成否を分ける頻度が高まっているモダンフットボールにおいて、チームの共通意識や方向性は最も重要な要素であり、個に頼り切った旧態依然としたチームがワールドカップでベスト8など狙えるわけがない。
 
 しかし、森保ジャパンはともすれば「明確な攻撃の狙い」が欠けているのかもしれない。枠内シュート0本で0−3の惨敗を喫した6月14日のチュニジア戦後、メディア対応時に三笘薫が本音をぶちまけた。
 
「チームとしてもボールを持った時に、ニアゾーンなどを取りにいくことを共有するのか、そういうバリエーションが少ないと感じます。(チュニジアのように引いて守る相手に対しては)ミドルシュートで相手を引き出すとか、そういうチームとしての組み立てをやっていかないと、(個々が勝手に仕掛けて)カウンターを受けるなど、毎試合こういう流れになってしまう。チームとしてどうやって攻めていくか、決まり事ではないですが、色んなものを持たないといけないと思います。個人でのコミュニケーションで、『立ち位置をこういう風にしてほしい』と言っていますが、チーム全員で共有できているかと言われればそうでない部分が多いですし、そこが必要かなと思います」
 

次ページ今シリーズは絶好の機会だったが…

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