【三浦泰年の情熱地泰】W杯でガーナ戦のような試合はあり得るのか? 完勝のなかで見えた日本らしさと忘れてはいけないミス

2022年06月12日 三浦泰年

代表スタッフでない立場から「一喜一憂」したいところだが…

ガーナ戦では久保(写真)や堂安、三笘ら東京五輪世代の若い力の躍動が光った。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部/JMPA代表撮影)

 ワールドカップでこんなにイージーな試合があるのであろうか?

 いや、こんな展開を作り上げる90分間が見てみたい。

 ワールドカップ出場国のガーナとの一戦は、ブラジル戦からメンバーを代えてしっかり勝ち切った日本代表を素直に評価すべき試合だったと僕は思う。

 日本代表に関しては、代表スタッフでない立場であれば「一喜一憂」しても問題ないと言いたい所だがやはり気になり、厳しい評価やコメントをしがちになる。

 ガーナ戦について評論家の人たちは何をコメントし、どうこの試合を見たのであろうか? ブラジル戦との比較も含めどのようなことを感じたか興味がないと言ったら嘘になるであろう。
 

 僕はアフリカ代表としてワールドカップへ出場するガーナのレベルはこのくらいなんだ……と思いながら、これが本番の参考になるのか? 日本の力として信じて良いのかと思いながら、90分にわたり得点の匂いがしていた日本代表のサッカーを応援していた。

 特に三笘にボールが入ると、なんとなくワクワク感があり、決定的な仕事をしてくれそうな期待感を持って視聴していた。

 上田も2019年ブラジルで行なわれたコパ・アメリカの時より成長し、ゴール前で怖さを感じるシーンが増えていた。Jリーグでの結果がはっきりAマッチでも出ていたように見えた。

 23人に入るために「アピール、アピール」と自分が結果を出そうとする判断も多かったが、日本の選手はそのくらいの方が良いのかもしれない。

 個人的には今日のチームに鎌田や古橋がどこのポジションに加われば、もっとチャンスが作れたのであろうか? と思いながら見ていた。ブラジル戦で枠内シュートが打てず相手のボックス内でのチャンスと形が作れなかっただけに、ガーナを相手にしっかり4点取り、チャンスも作れていたのは喜ばしい。

 守備も安定していたように見えたし、とりわけ国内組の谷口がしっかり代表でもプレーしてくれたのは、ここ数年フロンターレがJリーグを支えている訳だから大切なことなのである。海外組が多く、国内組が少ないというチーム構成の中で山根と谷口がしっかり安定することは大事なことだ。

 しかし、失点シーンは触れられたくないかもしれないが、あれはブラジルでやってしまったら、"文化"が許さないであろう。

 82年スペイン・ワールドカップのブラジル代表は今でも人気の高いチームであるが、その時にミスをしたトニーニョ・セレーゾは今でもそのことを指摘される。

 ブラジルでは文化がそれを許さないが、日本代表選手がやってはいけない考えられないミスでの失点は本番でなかったことをラッキーだと思って二度と忘れないように、二度と起こらないように祈りたい。

 しかしガーナ戦での日本代表はメンタルが強かった。同点とされた後に、前半のアディッショナルタイムで2点目を奪い、後半を優位にスタートさせた。

 相手の力を引き出して自分たちの力をより引き出した。

 この経験を経験として、本番のカタール・ワールドカップに持っていくためにはイージーなミスを犯したことを忘れてはいけない。4-1で勝利してしまえば忘れがちだが、忘れては経験として残らない。

 キリンカップの決勝、同じアフリカのチュニジア戦では今日以上の内容と結果を臨みたい。
 

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