インサイドハーフに新たな選択肢。「柴崎&久保」のコンビは森保ジャパンに何をもたらすか

2022年06月11日 元川悦子

初めて柴崎と久保がインサイドハーフに

柴崎はガーナ戦で積極的な攻撃を見せた。写真:塚本凜平(サッカーダイジェスト写真部/JMPA代表撮影)

[キリンカップ]日本 4-1 ガーナ/6月10日/ノエビアスタジアム神戸

 久保建英(マジョルカ)と前田大然(セルティック)の代表初ゴールに、吉田麻也(サンプドリア)、遠藤航(シュツットガルト)の両大黒柱抜きの戦い、終盤の3バックと多彩なテストができた6月10日のガーナ戦。相手の強行移動と事実上の2軍というメンバー構成というマイナス要素を差し引いても、収穫は少なくなかった。

 なかでも、中盤の新たな構成は注目点の1つだった。遠藤、柴崎岳(レガネス)、久保という3枚がスタメンリストに名を連ねた際、「2ボランチ+トップ下」という三角形の配置をイメージした人も多かっただろうが、ふたを開けてみれば逆三角形。柴崎と久保がインサイドハーフに陣取ったのは森保ジャパン発足後、初めてと言っても過言ではなかった。

「どっちかというとタケ(久保)が10番タイプで、リンクマンとして航とその間のポジションをサポートしてやっていた。航が出て行った時は空いたスペースを埋めようと思ってましたし、タケが流れてきたら、僕が違うサイドに流れていくとか、ある程度、指示らしい指示は言わずに、自由に動かしながら、逆をしっかりと行くような形は意識してやっていました」
 
 柴崎が説明する通り、久保がやや前目に位置し、柴崎が背後をサポートするようなイメージでスタート。必然的にやや右肩上がりの攻撃の形が増え、久保と堂安律(PSV)、山根視来(川崎)のトライアングルの連係から数多くのチャンスが生まれ、先制点にもつながった。

「普段出ているインサイドハーフの2人(守田英正=サンタ・クララ、田中碧=デュッセルドルフ)と同じ土俵で勝負しても意味がない。僕は前目の位置に出て違ったところで攻撃に絡んで、ビルドアップのところは遠藤選手と柴崎選手に任せて、運動量を増やして、どんどんテンポよく攻めていければと考えました」と久保も言うように、柴崎の意図をしっかりとくみ取ってプレー。良い関係性ができていたと言える。

 一方、柴崎から見て左の三笘薫(ユニオンSG)との関係については、大きなスペースを作ることを心掛けた模様。そのうえで、彼自身が前線に飛び出して積極的にシュートを打ちに行っていた。ヴァイッド・ハリルホジッチ監督時代はトップ下も任されたことのある選手だけに、もともと攻撃センスは高い。
 
 森保ジャパンではボランチとしてバランスを取る役割を任されることが多く、そういった長所が前面に出るケースは少なかった柴崎だが、インサイドハーフならちょうど良いバランスが取れるのだろう。3月のベトナム戦でアンカーに入った時よりも、明らかに効果的な仕事が多かった。
 

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