パリ五輪世代のエース候補・藤尾翔太が克服すべき課題とは? さらなる成長を誓い移籍した徳島でかかる期待

2022年05月17日 松尾祐希

得点パターンで“自分の形”を作りつつある

プロ3年目の今季は徳島でプレーする藤尾。11節・岩手戦ではハットトリックを達成するなど、貴重な得点源として奮闘中だ。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

[J2リーグ第16節]横浜FC 2-1 徳島/5月15日/ニッパツ三ツ沢球技場

 U-18年代から期待されながら、プロ入り後に思うような活躍を見せられないストライカーは少なくない。なぜ、そうなってしまうのか。理由の一つとして、最も勝負に直結するゴールを奪うポジションで、力のある助っ人FWが重宝されやすい傾向にあるからだ。そうなると、高卒の若手FWは継続して出場機会を得ることが難しくなる。

 若手FWにとって、成長のために必要な要素は出場機会と自信だろう。その意味では、パリ五輪世代のエース候補のひとり、藤尾翔太はある意味、順調な歩みを見せていると言える。

 セレッソ大阪の育成組織出身である藤尾は、高校2年生だった2018年にC大阪U-23でJ3デビューを飾る。トップ昇格を果たした2020年はJ1デビュー戦でゴールを決めたが、出場機会をほとんど得られなかった。活躍の場はU-23チームで、J3で26試合に出場した。

 翌シーズンも同様にトップチームでは思うように出番を得られず、6月にJ2の水戸ホーリーホックに育成型期限付き移籍。そこで22試合に出場して8ゴールを奪った。

 迎えたプロ3年目の今季は徳島での武者修行を選んだ。16節が終わった時点で14試合に出場して5得点。3月下旬にU-21日本代表の一員としてドバイカップに参戦していた時期(6~7節)以外はピッチに立ち、11節のいわてグルージャ盛岡戦ではハットトリックを達成した。
 
 徳島の重要戦力として奮闘中だ。パリ五輪世代では細谷真大(柏レイソル)と藤尾以外で、所属クラブでレギュラーの座を掴んでいる者はおらず、チームのトップスコアラーでもある藤尾にかかる期待は決して小さくない。

 ゴール前の競り合いや裏への抜け出しを得意とする藤尾。得点パターンで"自分の形"を作りつつあるが、早い段階から継続して出場機会を得たからこそ今がある。「試合に出続けるのは僕の中で一番大事にしている」とは藤尾の言葉。ピッチに立つことでしか得られない経験値が、成長のエネルギーになっている。

 ハットトリックを記録した岩手戦では、PK、ヘディング、こぼれ球を押し込むなど、多彩なパターンでネットを揺らした。ゴール前のポジショニングや得点に対する嗅覚は、試合の中で感覚を養えたからこそ研ぎ澄まされたのだろう。

「クロスへの入り方やスペースの見つけ方は以前より上手くなった」と本人も胸を張る。
 

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