取材エリアでケインらは笑顔、敗れたアーセナル陣営は…悔しさを滲ませた冨安健洋。次節ニューカッスル戦はCBに入る可能性も【現地発】

2022年05月15日 田嶋コウスケ

右サイドに冨安をぶつけていれば

トッテナム戦も左SBで先発した冨安。ケインのシュートをブロックするなど質の高いプレーを見せたが、3失点の完敗に悔しさを滲ませた。(C)Getty Images

[プレミアリーグ22節(延期分)]トッテナム 3-0 アーセナル/5月12日

 試合終了の1分前、アーセナルのDF冨安健洋は苛立ちを募らせていた。

 0-3の相手リードで迎えた後半アディショナルタイム。トッテナムのDFエメルソン・ロイヤルが倒れ込むと、日本代表DFは「時間稼ぎだ」と言わんばかりに両腕を広げて主審に抗議した。試合はそのまま終了。勝利すれば来季のチャンピオンズ・リーグ(CL)出場が決まった直接対決で、アーセナルは手痛い敗戦を喫した。

 この結果、CL圏内の4位アーセナルと、圏外の5位トッテナムの差は「4」から「1」に縮まった。今季の残り試合数は2。アーセナルが自力で4位突破を決められる状況に変わりはないが、CL出場権争いの行方は、まったくもってわからなくなった。

 大一番のトッテナム戦でミケル・アルテタ監督が採用したのは、前節リーズ戦と同じ4-2-3-1。冨安は、2試合連続で左SBとして先発した。

 試合の流れを大きく変えたのは「ミスマッチ」だった。アーセナル最終ラインの並びは、右サイドからセドリック・ソアレス(右SB)、ロブ・ホールディング(右CB)、ガブリエウ・マガリャンイス(左CB)、冨安(左SB)。ガブリエウと冨安で編成した左サイドに比べ、セドリックとホールディングの控え組を並べた右サイドはクオリティの点で劣った。

 アーセナルは序盤こそ攻勢だったが、21分にセドリックがソン・フンミンへのブロックでPK献上。試合の流れが変わると、開始直後から韓国代表FWと激しくやりあっていたホールディングが33分に退場処分となった。
 
 結果論と言ってしまえばそれまでだが、リーグ得点王を争うほど好調なソン・フンミンのいる右サイドに冨安をぶつけていれば、また違う結果になっていたかもしれない。

 23歳のサムライ戦士は試合が終わるとユニホームめくりあげて汗を拭い、スタンドに3割ほどしか残っていなかったアーセナルサポーターの元に向かって挨拶をしていた。トッテナムの応援歌が大音量でスタジアムに響き渡るなか、腰に両手を当てながらロッカールームに引き上げるその姿は、見るからに悔しそうだった。

 記者会見に現われたアルテタ監督は、PK献上とホールディングの退場処分について「私が思っていることをここで語れば、6か月間の出場停止になる」と切り出した。「私は次節のニューカッスル戦で指揮を執りたい。嘘のつき方もわからないので、自分の考えは言わないほうがいい。試合のスタートは悪くなかったが、美しい試合が壊された」と直接的な批判こそ避けたが、厳し目の判定に大きな不満を口にした。

【PHOTO】加入直後からスタメン奪取で攻守に躍動!アーセナルで欠かせない存在となった冨安健洋!
 

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