「アサーノはボンバー、ファンなんだ」「マジでいいよ!」ボーフム本拠地で聞いた浅野拓磨のリアル評。“相手が嫌がる選手”の価値をファンは理解【現地発】

2022年05月14日 中野吉之伴

「今日だけじゃないよ。ずっといいプレーを見せてくれている」

ホッフェンハイム戦で圧巻の2ゴールを決めるなどシーズン後半に調子を上げた浅野。(C)Getty Images

 日本代表FW浅野拓磨が所属するボーフムの今季ホーム最終戦は、和やかな雰囲気で試合が行われるかと思われていた。すでに残留を果たしているからだ。試合前には、今季でチームを去ることになる選手一人一ひとりに記念品が贈呈され、このお別れセレモニーがこの日のメインイベントになるのではという声もあった。

 一方、対戦相手の奥川雅也がプレーするビーレフェルトは、勝たなければ残留の可能性が極めて厳しくなる。モチベーションという面でもアウェーチームが有利というのがドイツメディアの予想だった。

 ところが、開始直後から躍動感のあるプレーの連続であっという間に試合を支配したのはボーフムのほうだ。ビーレフェルトにほとんど攻撃を許さずに、次々にチャンスを構築。ファンは大きな声援でチームの背中を押していく。22分にセバスティアン・ポルターが先制ゴールを決めると、スタジアムは一段とボルテージを上がった。

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 記者席に座る私の耳に何度も聞こえてきたのが、「アサーノ!」という声援だ。攻撃では鋭い飛び出しとチャンスにつながるパスで起点となり、守備でも多くのシーンで貢献。後半に左サイド自陣深いところで相手のボールをカットし、そのあとも的確なパスで攻撃につなげたシーンでは、「おいおい、またアサーノだ。マジでいいよ!」「ああ!」という興奮したファンの会話があった。

 結局、ボーフムは2-1でホーム最終戦を勝利で飾り、チームは試合後長い間グラウンドに残り、ファンとともに何度も何度も喜びあっていた。

 ボーフムでは、試合後の監督会見がまだリモートで行われる。ミックスゾーンはなし。メディアルームも閉ざされたままなので、記者席から参加することになる。準備をしていたら、後ろからファンに話しかけられた。

「アサーノの取材?彼はボンバーだよ!」

 ボンバーというのは、ドイツにおいて結構な誉め言葉だ。うれしくなって「浅野は本当に今日いいパフォーマンスをみせていたよね」と返すと、「いやいや、今日だけじゃないよ。ずっといいプレーを見せてくれている。俺はアサーノのファンなんだ。ユニホームを買おうと思っているよ。チームのために戦ってくれるし、スピードがあるし、あとアイデアもある。素晴らしい選手だ」とさらに称賛の言葉を並べてきた。
 

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