「殴られる前に殴りに行く」。勝利への流れを安定化させるために、名古屋に必要なのは“燃費の向上”だ

2022年04月07日 今井雄一朗

同点にできたことが後半の攻勢の呼び水に

7節・湘南戦で逆転勝ちを収め、開幕戦以来の白星を掴んだ名古屋。長谷川監督は「選手たちが気持ちを出して戦ってくれた」と労った。(C)J.LEAGUE

[J1リーグ第7節]名古屋 2-1 湘南/4月7日/豊田スタジアム

 開幕戦以来の勝点3は、勝利への執念と気迫でもぎ取った。J1第7節で、名古屋はホームで湘南に2-1で勝利した。

 開始8分で湘南に先制され、劣勢の前半を過ごした試合としては、それだけでも強い手応えを感じることもできるだろう。対戦相手に有効なクロスの質や組み立てを想定しつつも、上手くいかなかった前半には嫌な雰囲気も漂った。

 同じく勝利から遠ざかっていた相手が及び腰にならなければ、後半の逆転劇も為しえなかったかもしれない。だが、同点となるオウンゴールを鋭いクロスで誘発した森下龍矢は、ハーフタイムのロッカールームの雰囲気をこう語る。

「『このままじゃダメなんだ』ってみんなで再確認して。その再確認が後半の始まりの勢いにつながったんじゃないかなと思う。勝ったことも大きいけど、自分たちでその雰囲気を変えられたというのが、それ以上にもっと大きい」

 前半はどうにも歯車がかみ合わず、劣勢を過ごした。ハイラインの相手の裏を取る動きを前線が強調するあまり、出し手とのタイミングが合わずに布陣は間延び。パスコースが見えない中盤はボールロストを繰り返し、フィードを蹴っても跳ね返され、セカンドボールも拾われた。
 
 セットプレーでの失点は相手のブロック役の選手に良いボールが合ってしまったという偶然の要素も重なり、やることなすこと裏目の45分間でもあった。

 しかし気合を入れ直した後半は立ち上がりから攻撃のテンポを上げ、同じ裏狙いのロングフィードでも「それで少し下がってしまったし、逆に1点リードしていて失点したくないというマインドも少しあった」(大野和成/湘南)と効果も増大。落ち着いたビルドアップからのメリハリの利いたサイドチェンジから森下のクロスが生まれ、同点にできたことが後半の攻勢の呼び水になった。

 メンタルでも体力的にも劣勢を感じた湘南は布陣の距離感が乱れ、押し込まれる展開に耐えていたが、好機と見るや名古屋の長谷川健太監督は相馬勇紀、阿部浩之、甲田英將と次々アタッカーをリフレッシュし、試合終了間際に阿部のパスに走りこんだ相馬が倒されPK獲得という最高の流れも演出。レオ・シルバとのじゃんけんを制した阿部がこのPKを決め、なんとかホームでの面目を保った。

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