ベトナム戦で機能しなかった4-3-3の中盤。遠藤・守田・田中のトリオ以外の幅をどう広げていく?

2022年03月31日 元川悦子

中央を大きく空け、カウンターを食らう場面も

柴崎は攻撃センスが持ち味の選手。アンカーとしては物足りなさが拭えなかった。写真:田中研治(サッカーダイジェスト/JMPA代表撮影)

 2022年カタール・ワールドカップ(W杯)出場権を獲得し、8か月後の本大会に向け新たな一歩を踏み出した日本代表。サバイバルのスタートとなった3月29日の最終予選ラストマッチ・ベトナム戦では、ここまでサブ組だった面々の強烈アピールが期待された。

 とりわけ、遠藤航(シュツットガルト)、守田英正(サンタ・クララ)、田中碧(デュッセルドルフ)の3人が絶対的存在になりつつ中盤に誰が食い込むのかは興味深い点。ベトナム戦で先発したアンカーの柴崎岳(レガネス)、旗手玲央(セルチィック)と原口元気(ウニオン・ベルリン)の左右のインサイドハーフがどのような連係を見せるのかは注目すべき点だった。

 最終予選の序盤戦は、遠藤とダブルボランチを組んでいた柴崎なら、2018年ロシアW杯16強の経験もあり、前の2人を的確に動かしつつ、良いバランスを保ってくれるという期待もあった。が、彼も公式戦初のアンカー挑戦の戸惑いもあったのだろう。序盤はポジショニングに苦慮し、立ち上がりの3分には旗手のカバーに行って中央を大きく空け、カウンターを食らう場面も見受けられた。

 遠藤であれば、ボールを失っても激しいデュエルと寄せで一気にボールを奪い返し、流れを引き戻せる力があるのだが、柴崎はもともと攻撃センスが持ち味の選手。かつて遠藤が「岳も守備のところでは結構ガッツリ行っている」と話していたことはあったが、今回はそういう印象は薄く、アンカーとしては物足りなさが拭えなかった。
 
 一方、旗手も原口も前線へ侵入していくダイナミックさがウリ。本大会での23枠に生き残ろうと、この試合ではより前へ前へという意識が働くのも理解はできた。

 そうなると、どうしても柴崎やアウトサイドの面々との距離が遠くなる。そこでボールを失えば、ベトナムのカウンターの餌食になるのは自明の理。危機を察知した原口が下がってカバーに入るようになり、前半の終盤はほぼダブルボランチのような形になっていた。

 右サイドの久保建英(マジョルカ)もインサイドでプレーしたがる分、原口は気を遣わざるを得なかったのだろうが、チーム全体が同じ絵を描けず、ギクシャク感ばかりが目につく。森保一監督も「お互いのプレーのイメージを合わせることができず、難しい状況が続いた」と反省していた。

【PHOTO】埼玉スタジアムに駆けつけた日本代表&ベトナム代表サポーター!
 

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