【消えた逸材】「面白いようにネットを揺らせた」ストライカーが29歳で引退。ウェアと比較されたオランダ代表FWの転落と現在に迫る

2022年04月01日 ワールドサッカーダイジェスト編集部

ファン・デルサルの「口説き」も功を奏してフルアムへ

全盛期は、リベリアの怪人と呼ばれたレジェンド、ジョージ・ウェアとも比較されたコリンズ・ジョン。 (C)Getty Images

Collins JOHN
コリンズ・ジョン(FW /元オランダ代表)
■生年月日/1985年10月17日
■身長・体重/185センチ・78キロ


 今から18年前のプレミアリーグで――アーセナルが無敗優勝を遂げた2003-04シーズンだ――、衝撃的なデビューを飾った18歳がいた。コリンズ・ジョン。リベリア生まれ、オランダ国籍を持つ早熟のストライカーだ。

 少年時代にリベリア内戦で父親を亡くし、母親と二人の弟と共にボートでオランダに渡ったジョンは、壮絶な日々を忘れるようにフットボールに没頭した。

 12歳でトゥベンテの下部組織に入ると、17歳でプロデビュー。初のハットトリックをマークした2年目の03-04シーズンには、すでにエールディビジで注目を集める存在となっていた。それでも本人は、プレミアリーグのクラブから声がかかるとは、思ってもいなかったという。

「(当時のフルアムを率いていた)クリス・コールマン監督から電話をもらったんだ。良い会話ができたけど、自分としては、ワオ! これは現実なのか? そんな感じだったよ。僕はプレミアリーグが大好きだったからね」
 

 15歳の頃からその動向を注視していたフルアムは、獲得のためにあらゆる手を講じた。当時のチームに在籍していたのが、オランダ代表の守護神エドウィン・ファン・デルサルで、この偉大な同胞の熱心な〝口説き〞も功を奏し、04年1月、350万ユーロの移籍金でフルアム入団を果たす。

 すると、デビューから2試合目のレスター戦でさっそく驚きを提供。62分の途中出から4分後に先制点を挙げ、さらに89分にもネットを揺らし、敵地での2-0の勝利の立役者となったのだ。

 翌節のブラックバーン戦では初先発を飾り、またも2得点。冬の加入ながら初年度で4ゴールを挙げたジョンは、同年8月にオランダ代表に初招集され、親善試合のスウェーデン戦とリヒテンシュタイン戦のピッチに立っている。
 
 05-06シーズンには、プレミアリーグでわずか16試合の先発にもかかわらず11ゴールを記録し、20歳でチーム得点王に。『BBC』のシーズンベストゴールに選ばれたミドルスブラ戦のスーパーボレーを含め、「面白いようにネットを揺らすことができた」と本人が振り返るキャリアのハイライトだ。
 

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