名将ラニエリが振り返るイタリア代表のEURO制覇。「マンチーニ監督はアッズーリそのものを変えてしまった」

2022年03月24日 パオロ・フォルコリン

「イングランドにイタリアの象徴として揶揄されてきたカテナッチョをさせた」

これまでのイメージを変える攻撃サッカーでEURO2020を制したアッズーリ。(C)Getty Images

 生粋のローマっ子であるクラウディオ・ラニエリは、イタリアのサッカーを熟知する人間である。選手時代はローマを含めた4つのチームでプレーした。監督になってからはイタリアを始めとしてヨーロッパの20以上のチームを率いた経験を持つ。

 スペイン、ギリシャ、フランス、そしてイングランド――。レスター・シティをプレミアで初優勝させたことは、彼の輝かしいキャリアの中でも最も大きな偉業だったろう。
つまり昨年7月にウェンブリーで行われたイングランド対イタリアのEURO2020決勝を語るに、彼ほどふさわしい人間はいない。

「まずは何をおいても決勝の話がしたいね。なぜならイタリアの冒険のエンディングは、私のサッカー人生の中でも最高と言っていいほどの感銘を与えてくれたからだ。テクニックはもちろん、なにより精神的に非常に強いチームだった。ほとんどの観客が相手チームを応援する逆境の中プレーすることは、想像以上に難しいことだ。

 それも開始2分には先制されてしまった。それなのにイタリアが混乱したのはほんの一瞬だった。いや、逆にウェンブリーでイングランドの選手たちを狼狽させていた。彼らに、イタリアの象徴として揶揄されてきたカテナッチョをさせたのだ。EUROの決勝で66%のボールポッセンッションを誇ったチームは未だかつてなかった。それを成し遂げたのは、少し前までカウンター狙いのサッカーをしていた我らイタリアだった」
 
「イングランドはピックフォードの守るゴールの前にまるで二台のバスを停めていたかのような堅い守りだった。少なくとも私はそんな印象を受けた。しかしイタリアの決してあきらめないプレッシャーが、ボヌッチの同点ゴールを生みだし、PK戦では、一人の有望な若手GKが、本物の偉大なGKに変貌をするのを、我々は目の当たりにした。

 ジャンルイジ・ドンナルンマ。PKとは昔から宝くじのようだと言われている。しかしチームに本当のカンピオーネが、ジージョのような選手がいたならば、当たりくじを引くのはそれほど難しいことではない。ドンナルンマがゴールマウスに立ったチーム(ミランとイタリア代表)が、これまで一度も    PK戦で負けたことがないのは決して偶然ではないはずだ」

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