7か月経ってもパリSGで苦難が続くメッシの現在。同僚は「無口だ。周りをじっと見ながら…」【現地発】

2022年03月22日 エル・パイス紙

ドレッシングルームで裏切りに加担した人物がいたという噂を耳にした

ピッチ上でも本来のパフォーマンスを発揮できていないメッシ。(C)Getty Images

 リオネル・メッシのバルセロナでの暮らしはいたって"普通"だった。自宅のあったバルセロナ郊郊のカステルデフェルスについて尋ねられるたびに、「静かなところだよ」と答えていたものだ。

 いつもの肉屋、アルゼンチン&ウルグアイナイズされた周囲の環境、お気に入りのレストラン、近隣住民に気づかれずに散歩できる日常。メッシはバルセロナで故郷アルゼンチンのロサリオのミニ版のような生活空間を構築していた。

 すっかり現地に馴染み、カンプノウをまたいで並外れたサッカー選手へと転身する時以外は、バルセロナ市内にほとんど足を踏み入れることがなかった。しかし、突然、メッシのその平穏な毎日に終止符が打たれた。

 去年の8月4日、バルサのジョアン・ラポルタ会長はメッシの父親ホルヘに電話をかけ、「我々はレオを更新することはできない。申し訳ない」と告げた。その瞬間、メッシは脳の中でタイムマシンを起動させた。2001年にロサリオを離れた時と同様に、心理学者が言うところの感情の均衡にヒビが入ったのだ。メッシは打ちひしがれていた。何より彼を困惑させたのは、答えが見つからなかったことだ。

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 その様子を間近で見ていた親友のセルヒオ・アグエロは「『どうしてバルサを退団しなければならなかったのか』と何度か尋ねた。でも何も教えてくれなかった。僕はバルサの選手だったからね。気を使ってくれたんだと思うよ」と述懐する。

 そんな心のモヤモヤが晴れない中、メッシはドレッシングルームで裏切りに加担した人物がいたという噂を耳にした。曰くジェラール・ピケがラポルタ会長に「レオがいなければ、ファイナンシャル・フェアプレーの問題は解決する」と進言したというのだ。

 ショックは日に日に大きくなり、そんな中で、そのトラウマを乗り越えるための特効薬のように舞い降りてきたのがパリSGだった。しかしながらそれから7か月余りが経過したが、パリでの新生活はメッシが想像していた通りのものにはなっていない。
 

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