【三浦泰年の情熱地泰】JFL開幕戦、白星発進の裏で密かに用意していた「恥をかいて学ぶ」という言葉

2022年03月16日 三浦泰年

開幕戦は、心配していた言葉を使わずにホーム白星でスタートさせられた

試合後に談笑する三浦兄弟。まずは初戦を勝利で飾った。写真:徳原隆元

 第24回JFLが開幕した。

 スタジアムには4620人のファン・サポーターが駆けつけてくれ、僕らの背中をしっかり後押ししてくれた。集まってくれた人たちに、感謝の気持ちでいっぱいである。

 開幕戦というのはどのカテゴリーであっても独特な空気が流れ、普段と違う雰囲気になるものであり、それはプロリーグではない我々JFLのカテゴリーでも同じことが言える。

 1月31日からスタートした鈴鹿ポイントゲッターズにとっても、もちろん大事な試合。開幕までにいろんなことが起り、いろんな人たちが興味を持つことになった環境のなかで、選手を平常心でピッチに立たせなければいけない。

 結果を恐れず、やってきたことを信じさせるためにも「恥をかいて学ぶ」という言葉を密かに、試合後に用意しておく必要があった。
 
 開幕戦、自分たちは最高のパフォーマンスではなかったが最低限のことをしっかり行ない、心配していた言葉を使わずに初戦をホーム白星でスタートさせられた。

 負ける理由は必ずある。一方で、勝つのには運でも勝てる時がある。開幕戦を四日市で迎え、勝利できたことは30分の1試合であるが、次に繋がる1勝だったであろう。

「恥をかいて学ぶ」とは言うものの、出来れば恥は欠かないで人生を終わりたい――。そう思っている人は多いのかもしれないが、恥をかくことイコール、「トライをした」「チャレンジをした」という証でもあり、それが今後に繋がっていく。恥を恐れて何もやらない方が恥であるということなのであろう。

 自分を信じて仲間を信じて恥を恐れずにやれば、大舞台でミスを犯したとしても、悔しさや後悔は消えなかったとしても、そこから学ぶことができれば、明るい未来が必ず訪れるということだと思う。そう信じるべきだ。

 サッカーの世界だけではない。全ての分野において言えることだろう。

 人を育てるということは、時には痛みを知らせ(教え)、恥を知らせ(教え)、それを互いに共有し合い、分け合うことだと言えるかもしれない。そうしてタフな集団が出来上がっていく。強い、何が起きても動じない大きな心(精神)を持つグループが、勝利のメンタリティを持ったチームとなるのであろう。

 人の前で恥をかかせてはいけない。そんな酷いことは人としてやってはいけない。そう思う人が多いかもしれないが、「本氣」でプレーするには負けを知らなければ、恥を知らなければ、本氣にはなれない。

 その経験も人を育てることのひとつであり、教育者や指導者の役目でもあると僕は思う。

 もちろん勝つことは重要で、勝利するためにピッチに立つ。これは当たり前のことで誰が何を言っても変えられないこと。しかし、結果がそうでなかったからといって全てを失う訳ではなく、必ず次に活きてくることなのである。

 いや、活かさなければいけない。勝ちから学ぶことより、負けから学ぶことの方が多いのだから。
 

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