「よく10歳若かったらと言われますが…」東京V・小池純輝はなぜ32歳からの3年間で40ゴールを量産できたのか?

2022年03月09日 佐藤亮太

「エーコ、後ろできるか?」始まりは左サイドバックへのコンバートから

 巷間、30代はベテランと呼ばれる。

 しかしサッカーは30代になってからが面白いとも言われる。そのことを実証する選手がいる。J2東京ヴェルディのMF小池純輝だ。

 2006年、浦和レッズユースからトップチームに昇格後、09年、現在のザスパクサツ群馬に期限付き移籍。のち、水戸、東京V、横浜FC、千葉、愛媛FC、ふたたび東京Vと現在まで7チームを渡り歩いた。
 
 今年5月で35歳を迎える小池はプロ17年目のJ2マエストロだ。

 特筆すべきはJ2歴代4位となる454試合出場(3月6日時点)。そして、ここ数年のゴールの数だ。

 東京Vへ再加入となった19年、2度のハットトリックを果たし16得点。20年に7点。昨季はキャリアハイの17得点。合わせて40得点。通算72得点のうち、半分以上をこの3年で挙げている。

 裏への抜け出しと正確なシュートコントロールを武器とする小池。ゴールパターンはクロスの軌道に入り込んでのダイレクトシュートやスルーパスを受け、ドリブルを仕掛けてのシュートなどだが、小池は30代になり、なぜゴールを量産しているのか?

 この問いに小池は「積み上げ」と答えた。

『積み上げ』
 一見何気ない平凡な言葉だが、経験値、思考法、人間性、生き方、縁が詰め込まれ、それらが互いにつながっている。

 始まりは前述の09年。
「エーコ(小池の愛称)、後ろできるか?」
 この年の開幕戦翌日、佐野達監督に左サイドバックへのコンバートを言い渡された。これまではもっぱらFWのみ。サイドバックのプレー経験はほとんどなかった。

 断ることもできたが、チャンス欲しさに「できます」と即答。この年、51試合中、49試合に出場し主力となった。これがキッカケとなり、その後所属したチームでは両サイドバック、両ワイドで起用された。突然のコンバートでポジションとプレーの幅が広がり、加えて、様々な監督のもとでプレーしたことで、選手としての奥行きが出た。東京Vに復帰した際、再びFW起用となったことも量産の要因に挙げられる。

 とはいえ、以前の小池はここ数年のように1年を通して、主力として活躍したシーズンはあまりない。しかし、これは決してマイナスではなかった。小池は成功よりも失敗が、試合に出た時期より、出られなかった時期が自分を育ててくれたと振り返る。

J2リーグ順位表

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