「来てくれてホントに良かった」戦術家にしてモチベーター。選手が語るザスパクサツ群馬・大槻監督の存在

2022年02月28日 佐藤亮太

「強度をベースに、熱量で戦術に落とし込んでいく」指揮官

群馬を率いる大槻監督。戦術家とモチベーターの両面の顔を持ち合わせる指揮官だ。(C) J.LEAGUE PHOTOS

 両手をポケットにツッコミ、うつむき加減で何かを考えると、すぐピッチに目をやり、腕組みをしながらチームを鋭く観察する。

 今季、J2ザスパクサツ群馬で指揮を執る大槻毅監督の姿は変わっていなかった。

 水戸、大宮、浦和、仙台でコーチを務めた大槻監督は2018年4月浦和で公式戦6試合、代行監督を務めた。翌年5月にも、オズワルド・オリヴェイラ監督に代わり就任。約1年半、指揮を執った。

 大槻監督といえば、試合に向けたスイッチとするオールバックに銀縁メガネ、背広姿という威圧感あるスタイルが注目された。ただヴィジュアル先行ではないことは群馬のファン・サポーターにも伝わったはずだ。
 
 リーグ開幕・山形戦では相手のサイド攻撃を封じ1-0で勝利。続く2節・金沢戦では終盤、押し込まれながらも耐え抜き、スコアレスドローとした。

 徹底した分析で相手の特長を消し、かつこちらのストロングポイントを最大限生かす。これが大槻流。そのため選手に要求するのは球際、切り替えでの強度だ。

「強度をベースに大槻監督の持つ熱量で戦術に落とし込んでいく」
 そう話すのが主将に指名されたMF細貝萌だ。

 その細貝は今季の群馬をこう語る。
「チームが始動してから1、2週間経って思ったのは大槻さんが来てくれてホントに良かったなということ。今年の群馬はひとつガッと上がって、そこからなだらかに伸びていく感じがある」

 群馬は決して資金は豊かではない。そのため実績のある選手を多く連れてくることはできない。出場機会を得ようと加入する選手には即戦力がいれば、経験の浅い選手とまちまち。限られた資金と陣容のなか、勝ちながら、選手を育てるのは難しいミッション。
 それでも細貝は「だからこそ群馬に合っている」と語る。

 そう確信する理由に大槻監督の持つ2つの特性がある。

 ひとつはモチベーターとしての顔。
「言葉の力を持っている人」とDF槙野智章(神戸)。浦和時代、試合前、チームに「勝っていても負けていても同点でも、どんなに苦しい状態でも戦いなさい、走りなさい。そうすれば、埼玉スタジアムは絶対に我々の味方になってくれる」と奮い立たせた。また伸び盛りの選手には「もっとできる。俺はお前に期待しすぎか」と鼓舞した。

 練習取材したこの日も「もっと熱量を持て」と独特のワードセンスで変わらぬ檄を飛ばした。

J2リーグ順位表

次ページ「もっとギラギラしろ。ギラギラが足りない」

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事