中村俊輔が語る“良い選手”の定義。ハイテンポ&ハイスピードの新生・横浜FCでは「探しているよ、自分の居場所を」

2022年02月16日 広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)

根底にあるのは「チャレンジしたい」という思い

チームのやり方を体現したうえで、いかに自分の色を出すか。「その欲がなくなったらつまんないし、サッカーをやっている意味がない」。写真(1月に撮影):塚本凛平(サッカーダイジェスト写真部)

 フットボーラーとして、ひとつの理想像があった。ピッチ上では、すべてが自分を中心に回っていく。俺がやりたいようにやる――「ゼロか100の選手っているでしょ?」と、中村俊輔は独特の言い回しを用いて、「たとえばリケルメとか」と元アルゼンチン代表MFの名を挙げる。「そういう選手でありたかったけどね」とも。

 カテゴリーを下げれば、その理想を実現できたかもしれない。10番をつけ、俺にパスを出せ、俺の感覚でやらせろ、と。

 だが、俊輔は違う道を進んだ。

「第一線でやるためには、自分が考えを変えたり、プレーを合わせたりとかして、なんとか生き抜いていこうっていうほうを選んだ」

 今年6月には44歳になる。走力も、不得手とする守備力も落ちれば、「チームのひとりとして評価されない」のは重々承知している。それでも、試合に出たい、プレーしたい。だから「必死でやるしかないでしょ、必要とされる選手でありたいから」。

 ともすれば、自分を押し殺して、チーム戦術を優先する時があるかもしれない。ただ、「全然、ネガティブな感じではやっていない」し、「自分が折れて(与えられた)ポジションでやっている感じでもない」。プロ26年目。長く現役を続けるために、ここまできたわけでもない。根底にあるのは、どんな立場に置かれても「チャレンジしたい」という思いだ。
 
 そのチャレンジの中で、俊輔が近年、言い続けていることがある。片時も忘れてはいない。むしろ、最大の原動力なのだろう。チームのスタイルを守るのは当たり前だとして、そのうえで、「いかに自分のプレーを出せるか」だ。

「その欲がなくなったらつまんないし、サッカーをやっている意味がないから」

 今季の横浜FCは、昨季までの4年間、札幌でペトロヴィッチ監督のもと、コーチを務めていた四方田修平を新監督に迎えた。指揮官は「ハイテンポ、ハイスピードなところを目指しながらアグレッシブにやっていきたい」と語る。

 四方田スタイルについて、俊輔は「ボールも人も動く」「どんどん前につけて、サポートに早く行って、考えて動いて」「3人の連係でダイレクトとか、3人目、4人目、5人目も考えて走る」など、日々のトレーニングを重ねながら吸収しようとしている。

【動画】中村俊輔の美技!ラストのフリーキックはまさに芸術
 

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