【清水】大前の殊勲の2ゴールはいかにして生まれたのか――「後ろから競っていたら絶対に勝てなかった」

2015年07月30日 広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)

途中出場の村田の存在で輝きを取り戻す。

前半は沈黙したが、後半は高い決定力を示してヘッドで2ゴール。「このチーム状況のなかで、先に失点しても2点取って逆転できたのは良かった」。(C)SOCCER DIGEST

 痛快な逆転劇だった。
 
 敵地で先制を許す嫌な展開も、清水は後半に入って攻撃の強度を高めてペースを握り返すと、そのままの勢いで2ゴールを奪取。終盤の横浜の猛攻も凌ぎ切り、実に8試合ぶりの勝利を掴み取った。

【J1 PHOTOハイライト】2ndステージ・5節
 
 殊勲の同点弾と逆転ゴールを挙げたのが、大前元紀だ。前半のパフォーマンスは正直、評価すべき点をまるで見出せなかったが、「前から行こう」とチームで声を掛け合って迎えた後半は、プレーに絡む回数が増えていった。
 
 背番号10が輝きを取り戻したのは、後半のスタートから途中出場した村田和哉の存在が大きく影響していたようだ。大前の2ゴールはすべて右サイドからの村田と鄭大世のクロスを起点に生まれているが、その右サイドで抜群の突破力を見せ、チャンスを築いていたのが村田だった。
 
「さっきも元紀と喋っていたんですけど、『和哉が入ってすごくやりやすかった』と言ってくれました。(前半は)裏に抜ける選手がなかなかいなかったように見えたので、そういう意味では、自分がサイドで(相手を)引っ張ったりとか、裏に抜ける動きができたのが良かったのかなと思います」(村田)
 
 果敢な仕掛けで相手の最終ラインを下げさせ、味方をゴールに向かって前向きにさせる村田の果敢な仕掛けは、たしかに清水の攻撃をテンポアップさせていた。
 
 その村田と息の合った連係を見せていたのが大前だ。
 
「和哉の特長っていうのは誰しもが知っているはずだし、このチームで和哉の良さを一番引き出せるのは俺だと思っていますから」(大前)
 
 ふたりのコンビネーションが逆転の原動力になっていたのは間違いない。さらに、この日は2トップの一角で先発した大前は、後半はやや下がり気味でプレーしていたのも、状況を好転させる一因となっていた。その狙いはこうだ。
 
「前半は間で受けようとしていたんですけど、なかなか自分のところにボールが入ってこなかった。だから、ちょっと引いて(攻撃を)作ろう、と。相手も俺のことを捕まえ切れていなかったし、俺が引いた時は、チームとしてもボールを持つ時間が長くなると思うので。引き過ぎても良くないですけど、今日に関しては良かったと思います」

次ページサイズの違いを感じさせない完璧な動き出し。

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